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感染リスク、中立地開催案で“内戦”。
プレミア再開は本当に実現できるか? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/05/08 20:30

感染リスク、中立地開催案で“内戦”。プレミア再開は本当に実現できるか?<Number Web> photograph by Getty Images

リバプール本拠地のアンフィールドのピッチには、NHSへの感謝を伝えるメッセージが刻まれている。

感染リスクの低さを証明できるなら。

 選手自身は頻繁に検査を受けることになっても、彼らの家族も対象になるわけではない。元々健康上の問題がある家族を持つ選手や、妊娠中の妻や生後間もない赤ん坊を持つ選手もいるだろう。

 シーズン再開後、選手に感染者が出てしまったら……。当人のみならず、チームメイトや相手チームの隔離も考えなければならず、大混乱のなか再びリーグ中断を強いられる事態は想像に難くない。

 もちろん、「たられば」を言い始めればきりがない。

 それは、ノーマルと“ニュー・ノーマル”の別を問わずに共通することだ。PFA(プロ選手協会)からは、普段から接触もあるチーム練習をこなす選手が、自宅で過ごす場合と同じように感染リスクの低さを確信できるのであれば、シーズン再開に異論はないとする見解が伝えられている。

 だが外出規制が緩和されれば、一般の人々も生活のために職場に通い始める。御守りのようにマスクを着け、ソーシャル・ディスタンスをとるのが難しい電車やバスに乗って通勤することになる。筆者も試合会場入りが総勢400名ほどに制限されるなか、多くても30名程度しか入れないはずのペン記者枠に入ることは難しいかもしれないが、取材申請が通れば、スタジアムという仕事場に通いたい。

ワクチンが出回らないと来季開幕も?

 コンタクトスポーツの従事者である選手たちには、それ相応の感染リスク回避対策を施す必要がある。極端なことを言えば、チームはソーシャルディスタンスをとる必要のない家族と考え、一同がホテルに滞在し続けるというパターンだ。

 私生活面で多くの犠牲を強いることになるが、リーグと各クラブが最大限に安全な仕事環境の提供に努める姿勢を示せば、プロの職業人である選手たちも、シーズン再開計画に合意してくれるのではないだろうか?

 今季の再開が叶わなければ、ワクチンが世に出回らない限り来季の開幕もないだろう。そうなれば、テレビ放映権料とスポンサー収入のおかげで、入場料収入への依存度が低いプレミア勢のなかにも存続が危ぶまれるクラブが出て不思議ではない。

 それこそウイルスの猛威に怯えながら、サッカーのないアブノーマルな日常へ向かう一方となってしまう。

【次ページ】 90分間だけでもストレス発散を。

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