野球クロスロードBACK NUMBER
仙台育英・須江監督の徹底的な管理。
高校生投手分業制の最先端を追う。
posted2020/05/07 17:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Hideki Sugiyama
新型コロナウイルスの影響により、史上初の中止となったセンバツ高校野球。発売中のNumber1002号の野球特集「今だからできること」では、出場予定だった高校にアンケート取材をお願いした。
「今回のセンバツでは、初めて『500球/週』の投球制限が適用されるはずだったが、どう対応しようと考えていたか?」
「高校生投手の育成方針は?」
こんな「投手」にまつわるアンケートに28校のエース、監督が回答を寄せてくれた。
そのなかで特に印象深い回答を寄せてくれたのが仙台育英だ。誌面ではその一部しか紹介できなかったため、須江航監督に電話で追加取材をしつつ、徹底した分業制を敷くその投手育成術に迫った。
決勝までの詳細なローテーション。
センバツでの投手起用をどう考えているか? この質問に対する須江監督の回答は、驚くほど詳細だった。
「1回戦……エースの向坂優太郎で100~120球程度。有利な試合展開ならば複数の投手でイニングを稼ぐ(初戦の難しさがあり、他の投手を見せたくない。次の試合まで最大で中4日と登板間隔があるため)。
2回戦……笹倉世凪+阿部恋+伊藤樹または向坂(登板は順不同だが、交代の条件を設けた早めの継投)。
準々決勝……笹倉と向坂以外の投手で勝ち切りたい。
準決勝……向坂を中心とした総力戦(ここまで状態の良い投手を、ショートイニングで繋ぐことも視野に入れて)。
決勝……向坂を中心とした総力戦(準決勝に近い継投を考えている)」
とにかくリアルなシミュレーションである。どうしてここまで細かく考えられるのか?
そしてここまで相手に手の内を見せていいものだろうか? 監督の須江に直接尋ねた。