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小林大悟が語る米サッカーと代表。
「キングカズが目指してるんだから」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2020/04/30 20:30
アメリカでのプレーもすでに8年目、小林大悟の上昇志向は衰えることを知らない。
長くいた大宮では停滞してしまった。
――計算できてしまうのですね?
「初対面で緊張するような状態から、一気に自分のパフォーマンスを発揮できるところまで持っていく、というプロセスに幸せを感じるタイプで、そのあと停滞するのが自分の弱いところだなと思ってました。
で、振り返るとヴェルディから2006年に大宮に移籍して以降、徐々にそうなっていて。大宮での4シーズン目になって、もうモチベーションが減ってるんだったらチームを出るしかないだろと思って。もう代表にも呼ばれなくなっていた頃で、チームを出るといってもノルウェーしか結局なかったんですよね。ノルウェーは新しい土地だから、自分の力を証明するために必死でした。結局、そうやって何かに無理矢理にでも突き動かされないとやらない、頑張れないタイプなんですよね」
――だから、大宮も、スタベイクも、ボストンでも、移籍後1年目は結果を残しているのかもしれませんね。
「バレてます?(笑) 最初のシーズンは結構いいプレーするんですよね」
人工芝のピッチでは技術が光る?
――それでも、アメリカでもう8シーズン。何かが合っているのかなと想像します。
「フィジカル“だけ”に長けてる相手に対しては、なにかしら対処方法があるんだろうと思います。細かいことですが、バンクーバーの時も、ボストンのときも、もっと前のノルウェーのときもホームが全部人工芝だったですよね。人工芝に水がまかれた状態ってめちゃめちゃボールが速いんです。止めたボールがみんな2、3メートル離れちゃう。
でも、俺はトラップしても離れないんです。しかもフィジカルが強い、踏み込みが強いタイプの選手って人工芝だと滑ったりもする。つまり、人工芝って身体能力のギャップが結局縮まるんですよ。より技術が際立つというか。そういうことで評価がついてきた、ということもあると思います」
――今のスタジアムもそうですか?
「今は違います。基本的には俺も含め、みんな天然芝が好きですよ。でも、日本みたいな良いグラウンドはアメリカにはなくって、結構ピッチがゆるくてパワーが必要なんですよね。パワー系の選手が増えるので、今度はまた技術があるタイプの存在感も出てくるというか」
――アメリカの1部と2部、どんな違いを感じます?
「フィジカルの強いやつ自体はこのリーグでもいるんですよね。でも、1部だと技術とメンタルがもっと強いかな。日本とかドイツとかと同じだと思いますよそのあたりは。
でもね、サッカーってほんと深くて、例えばサイドバックの1人の選手が違えば試合全体が変わるけど、そういうことって外からじゃ見えないんですよね。
だから、想像するよりもそのチームで一緒にやる仲間というのはとても大事。だけどこればっかりは運なので自分で選べない。そういう中で競争もしつつ、自分がどうやればやりやすいか、生きやすいかを見つけてくしかないんです。結構みんなギリギリ、運の中でやってるんじゃないかな?」