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小林大悟が語る米サッカーと代表。
「キングカズが目指してるんだから」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2020/04/30 20:30
アメリカでのプレーもすでに8年目、小林大悟の上昇志向は衰えることを知らない。
ジェラードやランパードが通用しなかったアメリカ。
――アメリカでのプレーも8シーズン目を迎えますね。
「気づいたら、という感じですね」
――アメリカは、欧州とはまた違う独特の難しさがありそうです。
「一概には言えないけど、”日本とは違う難しさ”という意味では(筆者が住んでいる)ドイツでプレーするのとかわらないんじゃないかな。レベルや、個人が通用するかしないかはなんとも言えないけど」
――日本代表クラスの選手でも、アメリカでは苦戦を強いられてきました。
「通用するかは、ポジションにもよりますね。フォワードでやるとすると、Jリーグでやってたときみたいに自分の欲しいタイミングでボールは出てこないし、センターバックなんてクソ強い奴がいるし、スピードもここでは全く通用しない」
――主に中盤でプレーする小林選手の場合、アメリカで通用しているストロングポイントはどういうところだと考えていますか?
「どうだろうな。プレースタイル自体はずっと変わってなくて、細かい技術、止める蹴るというようなところはアメリカでは平均値よりはるかに上なんですよね。それでも、ボールを止めるところをちょっと間違えた瞬間に『こんな勢いでくる?』っていうくらいに体ぶつけてくる世界です。
現役の終わり頃でしたが、ジェラードとかランパードがアメリカに来たんですよね。でも、彼らは全く通用しなかった。なんか、身体に染み付いているサッカーのセオリーが違うんだろうと思いました。自分がギリシャに行ったときもそういうことを感じたんですよね。なに? このなんの定義もないサッカーは? というような感覚。アメリカも、そういう感覚になることはあります。でも中盤であれば、割と適応できる日本人はいるんじゃないかな?」
人の繋がりで選んだ現在のクラブ。
ーー2シーズン前から、2部に相当するUSLでプレーしていますよね。
「今回のチームは、ニューイングランド・レボリューションの時の監督(Jay Heaps)が社長で、当時コーチだった人(Tom Soehn)が監督なんですよね。だから、新しくチームができるときに、『どう? また一緒にやってくれるか?』みたいな話で。長くアメリカでプレーできているのは案外そういう、繋がりみたいなところが大事なのかもしれないですよね」
――確かに、欧州でも指揮官に引っ張られて移籍する選手もいますし、コーチングスタッフはチームで動きます。
「結局、自分が自分に持ってる評価と人からの評価って全然違うんですよね。どういう風に自分が価値あるかなんて自分ではわからなくて、評価してくれる人がいることをありがたいと思うだけなんですよね」