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「ミランが北朝鮮だったとはな!」
解任ボバンが古巣に毒を吐いた理由。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/04/01 07:00

「ミランが北朝鮮だったとはな!」解任ボバンが古巣に毒を吐いた理由。<Number Web> photograph by Getty Images

現役時代はミランのゲームメーカーだったボバン。ミランとのケンカ別れは当時を知るファンとしては悲しい。

マルディーニも今季限りが濃厚。

 マルディーニTDは一応留任しているものの、21日には息子のMFダニエルとともに新型コロナウイルス陽性が発覚した。幸い症状はほとんど出なかったようだが、もはや立場のないことを悟ったTDは、シーズン終了とともにクラブを去ることが濃厚だ。

 直近の試合である3月8日の第26節ジェノア戦に敗れた後も、指揮官ステファノ・ピオリは平静を保っている。彼は魑魅魍魎が跋扈するカルチョの世界にいながら常識人でありたいと願う男だ。

 昨秋10月に急遽招かれたピオリは、2桁順位に喘いでいたチームに安定をもたらし、クリーンシートを7回も記録しながら7位にまでチームを押し上げた。

 ボバンとマルディーニはその仕事ぶりを高く評価していたから、来季留任の目も十分あった。しかし、今やその立場は人事決定権を一手に握る独裁者ガジディスの腹積もりひとつ、という極めて不安定なものになっている。

 中断期間中のピオリは、スマホや電子デバイスを使って選手たちを管理しようとはせず、週の初めに音声メッセージで1人ひとりに自宅でできる個人練習メニューを伝えるに留めた。

 野菜やフルーツを摂れ、素食を心がけよ、と食生活には口出しするが、コンディション維持については選手たちの自主性とプロとしての心構えに任せている。やや前時代的かもしれないが、それがピオリのメソッドなのだ。

サッカー版『マネーボール』化か。

 ガジディスCEOが考えているのは、おそらくコストと結果の費用対効果を最重視する、サッカー版『マネーボール』ではないか、と見当がつく。

 現場を任せるにあたって、革新的指導者ラングニックはうってつけだろう。

 独創的な「4-2-2-2」とローコストの若手を走らせるスタイルで、ドイツサッカー界に革新をもたらした別名“プロフェッサー”。ミランにおける導師的存在である御大アリゴ・サッキのサッカーを敬愛し、有名な「8秒/10秒ルール(※ボールを奪うのに最大8秒、奪って相手ゴール到達まで最大10秒)」を発明。21世紀のアグレッシブ・フットボールを推進する。

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