セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「ミランが北朝鮮だったとはな!」
解任ボバンが古巣に毒を吐いた理由。
posted2020/04/01 07:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「まさかミランが北朝鮮だったとはな!」
セリエAが中断に陥る直前の3月7日、ミランで現場を統括するCFO(チーフ・フットボール・オフィサー)という要職にあったズボニミール・ボバンは、その座を追われた。
解任の翌日、地元紙の取材に応えた彼は、クラブの内部分裂と次期監督人事を巡る動きも暴露すると、経営首脳の独裁を批判する捨て台詞を残した。
昨夏、FIFA副事務総長という要職を捨ててまで古巣再建に馳せ参じたレジェンドOBが、なぜ愛する古巣に毒を吐かねばならなかったのか。
ミランはもう今季に見切りをつけた。
ひとつ言えるのは、ミランがすでに来シーズンへ向けて動き始めているということだ。
新型コロナウイルス禍収束の兆しが見えないイタリアでは、未だセリエA再開の目処が立っていない。スポーツイベント開催禁止等を定める政府措置は、当初4月3日までとしていた有効期限の延長が濃厚だ。
今は順位表の上下を問わず、どのセリエAクラブも選手たちの給与カットの可否やクラブ運営資金の確保といった問題に苦慮しながら、リーグ戦再開とシーズン完遂を祈るばかり。
スクデット争いはどうなるのか。CL出場権は。残留争いは。皆が皆、答えの出せない日常を過ごしている。
ただし、ミランだけはもう今季に見切りをつけたというか、残す12試合をどう戦うかより、もはや来季の仕切り直しにエネルギーを傾けている印象がある。
表舞台に出てきたのは、CEO(最高経営責任者)イバン・ガジディスだ。
英オックスフォード大で法学を修めた後、米国MLS創設に携わり、2009年から9年間にわたってアーセナルのCEOを務めた超エリートのガジディスは、ミランの経営権を握る投資ファンド「エリオット」からクラブ経営を任されている。