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日本人はスケープゴートにされやすい!?
中山雄太がオランダで味わう緊張感。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byGetty Images
posted2020/03/27 11:30
“助っ人”としてオランダのチームにいる中山雄太には、言い訳をしている暇はない。求められているのは結果だけなのだ。
「失点が全てだったと思います。パスミスです」
それでも試合が終わった後の彼の表情が晴れやかだったのは、後半のアディショナルタイムに2ゴールが飛び交う打ち合いを制して、ズウォーレが劇的な勝利を収めたからでもある。
もちろん自らのパフォーマンスに納得はしていない。
「今日の僕のプレーを振り返ると、失点が全てだったと思います。パスミスです。それで現に前半が終わった段階で替えられているので、僕自身しっかり反省しないといけないと思います。ただ、チームが勝ってくれたことで、気持ちを切り替えることができますね。勝ったことでポジティブに捉えることができますし、しっかりと反省して、また練習から頑張りたいなという風に思います」
U-23日本代表の主将は、派手な打ち合いに終わったことでうやむやになりがちな“ミス”を決して忘れず、「教訓」として捉え、次の試合に向かって「ポジティブ」に進もうとしているようだった。
「僕自身は、ああいうミスが命取りになることは自分に言い聞かせて、集中しないといけない部分だと思うので、しっかりと今日のことを教訓にしています」
「今度はミスとして露呈してしまった」
不意に犯した過ちは、後の個人の成長を促すのだろうか。例えば、2月16日に行われた第23節フェイエノールト戦でも、中山は、「ミス」から考えさせられるところがあったようだ。
3-4とフィテッセ戦とは真逆の結果となった試合の後で、得られた教訓を日本人CBは「ミスなのにミスに見えていなかったものが、今度はミスとして露呈してしまった」と独特の言い回しで表現した。その意図を端的に言ってしまうと、中堅レベルの相手では何の問題もなかったプレーも、格上相手には通用せず、「ミスとして露呈してしまった」……といったところだろうか。
「ボールを取りに行かないといけない場面で、いつも行けているところがあと一歩、半歩足りなかったり、プレッシャーが掛かっているようで掛かっていないシーンがすごくありました。特にあの10番(ステフェン・ベルハイス)が(ペナルティ)アークあたりでシュートを打ったシーンは、枚数は足りていても寄せ切れていなかった。もちろんフェイエノールトの選手たちの個人の能力の高さはありましたけど、もうちょっと組織でボールを奪えるシーンを作り出さないと、あるいは、作りだせているんですけど、あと一歩寄せが足りないところは、特に今日はすごく感じましたね」