ツバメの観察日記BACK NUMBER
ヤクルト奥川恭伸はなぜこの本を?
『座右の書「貞観政要」』を読む。
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byKYODO
posted2020/03/09 11:00
キャンプで投げ込むヤクルト・奥川。昨季、防御率4.78とセ・リーグで大差をつけられての最下位だった投手陣の救世主になれるか。
本書担当編集者の見解を聞く。
今回の一件を本書担当編集者はどのように受け止めているのだろう?
そこで、角川新書・間(あいだ)孝博さんに感想を尋ねてみることにした。以下、彼のコメント。
「本のタイトルでエゴサーチをしていて、ファンの方の投稿を知りました。
本書の想定読者は中高年のビジネスパーソンだったので、“どうして、奥川選手が?”というのが最初の感想でした。でも、意外とSNS上では《リーダー側》ではなく、《部下側》の若い世代からの反響も大きいんです。
この本はリーダーシップの話をすると同時に、部下サイドのフォロワーシップの話もしています。そういう意味では、若い世代にも役立つ内容だと自負しています。
ひょっとしたら、奥川選手は今どきのリーダーシップを身につけようとしているのかな? という気もします」
「人物を大きくする3要素」とは?
そして、間氏に「ぜひ、奥川君に読んでほしい箇所は?と尋ねると、彼は「人物を大きくする3要素」(P184)を挙げてくれた。それは、人の成長に欠かせない3つのポイントだった。
「人が成長するためには、(1)読書、(2)文章、(3)人との交流の3つのポイントがあります。
(1)は本を読むこと。つまり歴史から学ぶことを指します。(2)は文は人なり、筆は人なり。これは、文章を書くことで、自分の考えや情報を整理することができるということ。最後の(3)は自分ひとりで考えたところで正しい判断はできません。人と交わることが大切だという考えです」