ツバメの観察日記BACK NUMBER
ヤクルト奥川恭伸はなぜこの本を?
『座右の書「貞観政要」』を読む。
posted2020/03/09 11:00
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph by
KYODO
プロ野球キャンプも終盤を迎えていた2月19日のこと、あるツイートがヤクルトファンの間を駆け巡った。
このツイートによると、練習を終えた奥川恭伸はホテルに向かうタクシーに乗り込む際に一冊の本を持っていたという。
その一冊とは『座右の書「貞観政要」 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』(出口治明/角川新書)だった。
星稜高校在学時代から、『習慣を変えれば人生が変わる』(マーク・レクラウ/ディスカヴァー・トゥエンティワン)や、『予祝のススメ 前祝いの法則』(ひすいこたろう、大嶋啓介/フォレスト出版)など、自己啓発書やビジネス書を読んでいるというウワサは耳にしていた。
ヤクルトの戸田寮に入寮する際にも、『野村克也 野球論集成』(徳間書店)や『10代のための人間学』(森信三/致知出版社)など星稜高校元監督の山下智茂氏から贈られた本を何冊か持ち込んだという報道もあるほどの読書好きで知られる。
唐の第2代皇帝の言行録。
では一体、『座右の書 貞観政要』とはどのような内容なのか?
簡単に説明すると、『貞観政要』とは唐の第2代皇帝、太宗・李世民の言行録であり、成立以来1300年にわたって世界中のリーダーに読み継がれている古典だという。日本でも徳川家康、明治天皇らがこの本を愛読していたそうだ。
この本を座右の書としているのが出口治明氏だ。
立命館アジア太平洋大学(APU)の学長であり、ライフネット生命保険創業者でもある出口氏は、常に『貞観政要』を手の届くところに置き、自らの日頃の行いを律しているのだそうだ。
そして、奥川君が手にしていた新書は、出口氏が『貞観政要』をわかりやすく解説したものだったのだ。