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フロンターレが新型4-3-3に着手中。
「超アグレッシブ」な変化の要点。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2020/02/18 11:00
5-1のスコアを聞くと川崎らしい攻撃力爆発、というイメージだ。ただし長谷川竜也のゴールに、2020年に目指す方向性が垣間見える。
昨季のガンバ戦に構想は見えた。
指揮官が「超アグレッシブ」と評する新システムの4-3-3だが、実は昨季終盤にその布石はあったように思える。
具体的に言えば、10月のガンバ大阪戦(リーグ第29節:2-2)の後半に見せた戦い方がそれである。
1点ビハインドで迎えたハーフタイム、鬼木監督は守田英正を下げて、田中を後半から投入し、システムも4-2-3-1から4-3-3に変更した。中盤は田中をアンカーに、インサイドハーフに大島と中村憲剛を配置した逆三角形となり、前線は左ウィングに長谷川、中央にレアンドロ・ダミアン、右ウィングに家長昭博の3人を並べた攻撃型シフトだった。
サイド攻撃から中央のダミアンが仕留めるという形を徹底させ、ボランチから1列ポジションを上げた大島がゴール前に入っていく狙いが奏功。この両者の得点で一時は逆転している。ただ逆転直後に喫した失点と負傷交代のアクシデントで、戦い方の変更を余儀なくされてしまい、実際に機能したのは約20分ほどである。
昨シーズン、オプションとして組み込もうとしていた戦い方を本体として採用する――その構想が、鬼木監督の頭の中にはあったのかもしれない。
中盤のバランスが狂った場合の懸念。
もちろん、2020シーズンの初陣でも、90分間、全てがうまくいったわけではない。
前半から果敢に攻め続けたこともあり、試合が進むにつれて、やや攻め疲れを起こしてしまったのだ。運動量が落ちた結果、後半には清水からうまくボールが奪えずに後手を踏み、サイドを崩されて失点を喫した。主導権を明け渡した時間帯については、田中碧もチームの課題として認識している。
「相手が主導権を握っている時間帯があったのも事実ですし、そこで自分たちがどうやって守備をするのか。自分たちがどうやって主導権を握り返すのかというのが、すごく大事になるのかなと思います」
従来の4-2-3-1であれば、中盤を4枚にした4-4-2でブロックを組んで構えることも多いが、この4-3-3では中盤の3人でピッチの横幅(68メートル)を守るのが基本だ。3人がボールサイドにスライドしながら守るため、ポジショニングと運動量が常に求められるが、そこのバランスに狂いが生じると、途端に機能性が失う危険も潜んでいる。