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大久保嘉人が語るプロ20年目の決意。
「おれはまだまだやるぞ、という」
posted2020/02/18 11:50
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph by
Tetsuro Kaieda
東京ヴェルディの沖縄キャンプ2日目、グラウンドに残ってシュート練習に励む選手がひとり――。
今季から緑のシャツに袖を通し、前線の核として期待を集める大久保嘉人だ。
右足が鋭く振り抜かれる度に芝が散り、ボールがネットを突き上げる。キーパーを買って出たプロ3年目の長谷川洸は「同じシュートモーション、同じ脚の振りから、強さとコースを打ち分けてくる。どこに飛んでくるか、まったく読めない」と驚嘆の声をもらした。
2013シーズンから川崎フロンターレで史上初の3年連続J1得点王となり、J1通算最多得点記録(185ゴール)の保持者だ。優れたフィニッシュワークやスキルレベルの高さはもちろん、わずかに空いたスペースに入り込む動き、当たりの強さ、俊敏な身のこなし。一流のアタッカーが持つそれである。
大久保は自身が得点を量産した川崎時代、風間八宏監督のつくり上げたサッカーと東京Vの永井秀樹監督が志向するサッカーは重なり合う部分が多いと語る。
「ほんの一歩、立ち位置を変えたり、身体の向きを変えるだけで、いくらでも攻撃の手段を増やせる。言っていることが基本的に一緒ですから、すんなり頭に入ってきます。永井さんのほうが、要求はより細かいですかね。負ける気がしなかったあのときのサッカーを思い出す感覚です」
「川崎でも最初はやりたいことが」
が、開幕前の現時点ではまだ形になっていない。沖縄でのトレーニングマッチは1分7敗。大敗の連続で、それはもう清々しいほどの負けっぷりだった。
「大丈夫。フロンターレも最初の時期はやりたいことができてなかったですから。マークに付かれても、ここにパスを出せば取られないというポイントがわかり、一度できるようになれば自信がついていきます。1回、遊びのパスを入れておき、相手を引きつけて、その裏に別の選手が走る。ほかにも違う崩し方ができるといった具合いに余裕が生まれる。
いまはまだ余裕がなく、ミスをしたくない気持ちもあるから、不必要にプレーのスピードが上がってしまっている状態。スピードが上がれば、どれほど巧い選手でもミスが増えるのは避けられない。永井さんはブレない人だから、これをやり続ければどんなチームになるか、めっちゃ楽しみですよ」