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韓国で17勝、サンチェスの実力は?
巨人の先発投手“苦しい台所事情”。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/01/31 18:00
巨人の入団記者会見を終え、グータッチポーズを取る(左から)チアゴ・ビエイラ投手、ヘラルド・パーラ外野手、原辰徳監督、エンジェル・サンチェス投手。
制球力の目安とされるK/BBの比較。
その2つを分けるポイントとなっているのが、三振を奪える球種があることと制球力である。
実際に成功例と失敗例を比較してみよう。
バンデンハークは2013年から2シーズン、KBOのサムスンライオンズでプレーした。'14年には180三振で最多奪三振のタイトルを獲得し、与えた四球は45。制球力の目安とされるK/BB(1つの四球に対して奪った三振の率)は4.00と高い数字を誇っている。
また2005年の途中から'06年のシーズンをKBOの起亜タイガースでプレーし、後にヤクルト、巨人などNPB通算7年で64勝をマークしたセス・グライシンガー投手も、起亜での2シーズンで222三振を奪って与えた四球は63個。K/BBは3.52とこれも高水準の数字となっている。
ヒメネスやセドンはどうだったか。
一方、'10年に斗山ベアーズでプレーし、'11年に楽天入りしたケルビン・ヒメネス投手の場合はKBOで87三振を奪ったが四球の数も62個でK/BBは1.40とガクッと落ちる。'13年にSKでプレーして翌年、巨人入りした左腕のクリス・セドン投手はスライダーを武器にSKでシーズン160三振を奪ったが、73与四球でK/BBは2.19とやや低い数字に終わっている。
結果的にヒメネスは楽天で2年間プレーしたが、結果的には6勝17敗。セドンも初登板で15奪三振を記録して好スタートを切ったが、制球難が露呈して4勝5敗という成績を残して1年でチームを去った。
この成功例と失敗例を見ていくと、2.0を最低水準として3.5を越えると優秀な部類に入ると言われるK/BBの数字が、結果的には日本での成功の分岐点となっているといえるわけだ。