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アジア早期敗退を招いた甘い姿勢。
浴びた批判はJで見返すしかない。 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byJFA/AFLO

posted2020/01/17 18:00

アジア早期敗退を招いた甘い姿勢。浴びた批判はJで見返すしかない。<Number Web> photograph by JFA/AFLO

横内昭展コーチとコミュニケーションを取る森保監督。熱くチームを引っ張る姿勢を見たいというファンも多いはずである。

貴重な強化の場での早期敗退。

「U-23アジア選手権に向けて準備期間が取れないなか、12月28日のキリンチャレンジカップ(ジャマイカ戦)の期間を準備段階にするという選択肢はもともとあった」

 森保監督はそう明かした。オフがなくなり、準備期間が取れなくなってもジャマイカ戦を行ない、A代表のE-1選手権に東京五輪世代の選手たちを多く招集したのは、最大のターゲットが今大会ではなく、半年後の東京五輪だからだ。

 中国、香港、韓国のA代表とアウェーの地で戦い、海外組を招集できる数少ない機会である年末に親善試合を組む――。これらはすべて、半年後の東京五輪に向けて、個の能力や経験値を高めるための、チームの共通理解を高めるための方針だ。

 しかし、そのために、同じくらい貴重な強化の場であったU-23アジア選手権で早期敗退を喫してしまったのだから、もったいない。

森保監督は戦術を詰めるべきだった。

 森保監督のチームマネジメントにも疑問が残る。

 東京五輪への格好のシミュレーションの場にもかかわらず、同じくらい重要な試合であるE-1選手権、ジャマイカ戦が重なったため、準備期間が取れなかった。それでもグループステージを勝ち抜き、決勝まで勝ち上がりたかったなら、これまでとは異なるアプローチが必要だったのではないか。

 この2年間で海外組が急増し、指揮官の望む選手を招集できない状況が続いてきた。東京五輪代表は、チームの立ち上げからメンバー招集にさまざまな制約があり、招集のたびにメンバーが異なってきた。

 そのため、指揮官はひとつひとつ細かく教え込むのではなく、大枠だけ与え、あとは選手たちにコミュニケーションを取らせ、ピッチ内の問題を解決するように求めてきた。

 トップダウンではなく、ボトムアップ。

 こうした手法は今大会でも変わらなかったが、準備段階に問題を抱えているにもかかわらず、6試合をこなしたいなら、指揮官も本番モードでスカウティングを落とし込み、戦術を詰めるべきではなかったか。

 いずれにしても、今大会が東京五輪に向かううえで大きなターニングポイントになるのは間違いない。

 この屈辱から何を学び、それが次の活動へとどう生かされるのか。

【次ページ】 杉岡、相馬がこぼした悔しさ。

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