福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が五輪世代シリア戦に望む、
「ネガティブな空気を変える存在」
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byJFA/AFLO
posted2020/01/12 11:50
福西氏が「関係性が良かった」と語った田中碧(写真)と田中駿汰のコンビ。強みであるシャドーを生かすために、ボランチの選択は重要となる。
食野をもっと使いたかった。
そんな中でも違いを見せていたのは同点ゴールを奪った食野(亮太郎)。
前半から得意のカットインでシュートを狙いに行く場面がありましたね。多少強引にでも局面を打開しようとしていく姿勢は、サウジアラビアの守備陣としてはとても嫌だったはず。積極的な食野を、チーム全体としてもっと使ってもよかったです。
食野とマッチアップしている相手5番のアルアムリ、足をつっていましたよね。そこで優位に立っているのならば、食野をどんどん勝負させた方がいい。ゲームの主導権を握る中で、狙いどころを徹底する。その機転が利くかどうか。「ゲームを作る」段階から「相手を崩し切る」段階にまで行くためには、必要な要素です。
敗戦で得た教訓をシリア戦で。
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失点の場面について、PKにつながるパスミスはもちろんなんですが、1点目のシーンも最終ラインとボランチ間の連係が取れていれば――という印象です。
ガリーブが左サイドをドリブルで侵入してきた際、日本の守備は人数としてはそろっていた。スピードに乗る前に最終ラインの誰かが寄せて、ボランチと挟める状況を作れれば問題なかったんですね。
そういった部分で甘さが出てしまった積み重ねが、敗戦に繋がる怖さを痛感したでしょう。次の対戦相手はシリア。サウジアラビアと同じく、前線にボールを預けて単独突破で“ガチャガチャ”とした状態を作りに来ると予想します。日本にとっては嫌なタイプでしょうが、初戦を見る限り、サウジよりも力は落ちる印象です。反省点を整理すれば、しっかりと勝利を奪える相手のはずです。