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ベルマーレ、苦難の年の最後に笑う。
J1残留はやっぱり湘南スタイルで。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byGetty Images

posted2019/12/16 12:30

ベルマーレ、苦難の年の最後に笑う。J1残留はやっぱり湘南スタイルで。<Number Web> photograph by Getty Images

湘南は史上最も苦しいシーズンに、クラブ初の2年連続J1残留を成し遂げた。この1年は彼らの歴史に厚みを与えることだろう。

目前で手からこぼれ落ちた15位。

 彼らにとって唯一と言ってもいい救いは、残留を争うライバルの停滞だった。清水エスパルスやサガン鳥栖も勝点を伸ばせず、プレーオフを回避できる可能性がつなぎ止められていたのである。

 33節のサンフレッチェ広島戦で、ベルマーレは8月の磐田戦以来の勝利をつかんだ。順位は依然として16位のままだったが、最終節で14位の鳥栖と15位の清水が直接対決する。

 2チームを勝点1差で追うベルマーレは、最下位の松本山雅FCに勝利すれば自力で残留できる。得失点差で清水を上回っていることが、ここにきて大きな価値を持ってきた。

 松本戦では85分に先制点を奪った。他会場では清水が1-0で鳥栖をリードしている。ふたつの試合がこのまま終われば、ベルマーレは鳥栖を抜いて15位へ浮上する。J1残留が、ついにはっきりと輪郭を帯びた。

 ところが、90分に同点とされてしまうのである。15位の鳥栖と勝点で並びながら得失点差で劣るベルマーレは、J1参入プレーオフに最後の希望を託すことになった。なって、しまった。

徳島には勢いがあった。

 J1参入プレーオフに出場したJ2の4チームで、徳島はもっとも勢いのあるチームだった。28節以降は11勝3分1敗でリーグ戦を駆け抜け、プレーオフでは5位のヴァンフォーレ甲府を1-1で振り切り、6位のモンテディオ山形を1-0で退けた。

 ベルマーレもまた、徳島の勢いに気圧される。20分、相手が練り上げてきたCKから、先制点を許してしまうのだ。

 その後も主導権を握られた。徳島の攻撃を司る野村直輝をつかまえきれず、3-4-2-1のミラーゲームのなかで左サイドを執拗に突かれていく。同点とする機会をつかめないまま、運命の一戦は半分を終えた。

【次ページ】 劣勢の中で目覚めた湘南スタイル。

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