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ベルマーレ、苦難の年の最後に笑う。
J1残留はやっぱり湘南スタイルで。
posted2019/12/16 12:30
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
試合終了のホイッスルが鳴り響くと、湘南ベルマーレの選手たちは動きを止めた。その場に立ち尽くす選手がいて、ピッチに倒れ込む選手がいた。
爆発的な歓喜はない。深い安堵感が、彼らを包み込んでいた。テクニカルエリアでは浮嶋敏監督とコーチングスタッフが、折り重なって抱き合っている。
12月14日に行われたJ1参入プレーオフ決定戦で、ベルマーレは勝利をつかめなかった。J2の4チームによるトーナメントを勝ち上がってきた徳島ヴォルティスと、1-1で引き分けた。
一発勝負の決定戦には延長戦もPK戦もなく、引分けならJ1の16位チームがJ1に踏みとどまることができる。文字どおりの崖っぷちから、死地から、ベルマーレはギリギリで生還を果たしたのだった。
2019年シーズンのベルマーレは、「加速」をスローガンに掲げた。
'18年は24年ぶりのタイトルとなるルヴァンカップを獲得した一方で、J1リーグでは最終節に残留を決めた。坂本紘司スポーツダイレクターは「ここから本当に湘南ベルマーレとして高みを目ざす、本気で上を目ざす」との決意を掲げ、就任8年目の曹貴裁監督とともにスタートを切ったのである。
「どんな物事に対してもアクセル全開で向かっていき、組織、個、それぞれの成長をさらに加速させていく」との思いを、スローガンの「加速」に込めた。
リーグ戦は悪くないスタート。
連覇を狙ったルヴァンカップは、グループリーグ敗退に終わった。天皇杯では三重県代表のヴィアティン三重に、ホームで0-4の惨敗を喫した。
J1リーグでも、5月26日の13節から6月30日の17節まで5連敗を喫する。しかし、7月7日の18節でおよそ2カ月ぶりの勝利をつかむと、ヴィッセル神戸、鹿島アントラーズ、ジュビロ磐田からも勝利をつかみ、8月11日の22節終了時点で9勝2分11敗の11位をキープしていた。
'18年の22節終了時点は7勝5分9敗だったから、リーグ戦については悪くない歩みだったと言っていい。