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ベルマーレ、苦難の年の最後に笑う。
J1残留はやっぱり湘南スタイルで。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byGetty Images

posted2019/12/16 12:30

ベルマーレ、苦難の年の最後に笑う。J1残留はやっぱり湘南スタイルで。<Number Web> photograph by Getty Images

湘南は史上最も苦しいシーズンに、クラブ初の2年連続J1残留を成し遂げた。この1年は彼らの歴史に厚みを与えることだろう。

クラブ史上初の3シーズン連続J1。

 引分けならJ1に残留できるレギュレーションによって、ベルマーレはJ2降格を回避することができた。'20年シーズンは湘南ベルマーレとしては初めて、3シーズン連続でJ1の舞台に立つ。

 キャプテンの大野和成は、「本当に色々なことがあって苦しかった」と語った。シーズン中の監督交代だけでなく、10月の台風で練習グラウンドが冠水した。徳島戦へ向けたトレーニングも、県内の施設を借りて行われている。

 そのうえでつかみ取ったJ1残留は、ベルマーレにとってどんな意味を持つのか。

「チームがバラバラになりかけたこともあった」と大野は言う。「J2に落ちてもしょうがないというか、もう(残留は)厳しいんじゃないかという雰囲気の時期もあった」と齊藤も明かした。そこからJ1に踏みとどまったことで、チームは再びまとまることができた。まとまることの価値を、噛み締めることができている。

浮嶋監督の続投が発表。

 圧倒的なまでのハードワークが裏付けとなる“湘南スタイル”も、もっと言えば最先端の戦術に基づいたサッカーも、実は選手同士の精神的な結びつきが欠かせない。局面でのバトルや切り替えの早さといったものは、ひとりだけでなく2人、3人と連動していくことで相手の脅威となっていくからだ。そこにあるのは、サポートの精神である。

 J1、J2の各クラブは、ベルマーレに先んじて新シーズンへの編成を進めている。既存の選手との契約更新も他クラブからの補強も、後方からのスタートになる。

 一方で、クラブは浮嶋監督の続投を発表した。トップチームのコーチや育成組織の監督を務めてきた彼も、“湘南スタイル”を作り上げてきたスタッフである。クラブの方向性にブレはない。

 J1に定着するだけでなくタイトル獲得へ向かっていこうとするチームにとって、残留プレーオフは二度と経験したくない、経験してはいけない戦いと言うことができる。だが、徳島戦のスタジアムに響いたファン・サポーターの声援は、ベルマーレの支えとなっていくに違いない。

 ゴール裏を中心としたコールは試合が終了してもやむことがなく、このチームで戦う誇りを選手たちに感じさせたはずだからである。プレーオフというギリギリの戦いだからこそ得られるものが、気づかされるものが、12月14日のホームスタジアムにはあったのだ。

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