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ベルマーレ、苦難の年の最後に笑う。
J1残留はやっぱり湘南スタイルで。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byGetty Images

posted2019/12/16 12:30

ベルマーレ、苦難の年の最後に笑う。J1残留はやっぱり湘南スタイルで。<Number Web> photograph by Getty Images

湘南は史上最も苦しいシーズンに、クラブ初の2年連続J1残留を成し遂げた。この1年は彼らの歴史に厚みを与えることだろう。

クラブを襲った曹監督のパワハラ疑惑。

 ベルマーレは'10年以降に3度のJ1昇格を果たしているが、2年連続で残留したことがない。'19年シーズンにJ1に踏みとどまることは、彼らにとってシフトアップを意味する。

 負のスイッチが突如として、それも強制的に押されたのは8月11日の磐田戦直後である。一部スポーツ紙が曹監督のパワハラ疑惑を報道したのだった。

 クラブはすぐに曹監督が指揮・指導を控えることを発表し、高橋健二コーチが監督代行としてチームの先頭に立つ。

 選手とスタッフは、Jリーグによる調査への協力を求められた。その間にも、リーグ戦はやってくる。

 8月が終わっても、Jリーグから具体的な回答は得られない。9月が過ぎ去っても、クラブに裁定は届かない。

 湘南スタイルと呼ばれるサッカーを構築した曹監督は、チームに戻ってこられるのか。それとも、このままチームを離れるのか。パワハラ疑惑にまつわるメディアの続報が、様々な憶測を投げかけ、チーム内に気まずい雰囲気が立ち込めていく。

続く大敗、そして曹監督の退任。

 誰かが話していた言葉が、何かの記事で見た言葉が、ひとりひとりの頭のなかに居座る。選手たちを結び付けていた信頼感に、ヒビが入ってしまう。

 ピッチ上での選手の頑張りが、結果に結びついていかない。27節の清水エスパルス戦で0-6、28節の川崎フロンターレ戦も0-5と、信じられないような大敗を連続で喫してしまった。

 Jリーグからの裁定が下ったのは、川崎F戦の直前だった。クラブは曹監督の退任と、浮嶋監督の就任を発表する。

 それでもなお、浮上の兆しは見えてこない。29節では優勝へひた走る横浜F・マリノスに完敗し、30節のガンバ大阪戦、31節のセレッソ大阪戦も敗れてしまう。

 前監督とともに戦った磐田戦から、ほぼ3カ月にわたって勝利から遠ざかった。ジワジワと後退していった順位は、16位まで落ち込んだ。

 32節のFC東京戦は、1-0のリードを保ったまま後半アディショナルタイムに突入する。ところが、90+4分に被弾し、勝点3を取り切れない。“湘南スタイル”が観る者に訴えかける躍動感が、すっかり剥がれ落ちてしまっていた。

【次ページ】 目前で手からこぼれ落ちた15位。

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