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J3昇格、今治・岡田武史の本音(上)。
「田舎のプレスリーではいけない」 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2019/12/16 19:00

J3昇格、今治・岡田武史の本音(上)。「田舎のプレスリーではいけない」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

日本サッカーの「型」を作るため、2014年11月にFC今治のオーナーに就任した岡田武史氏。

余計な口出しは一切しない。

 監督を交代して名の知れた経験者を呼ぶプランがあるかと思いきや、まったくなかった。予算的に新たな監督を迎える余裕などまったくなかったのだ。

 35歳のコーチ、工藤直人を昇格させるしかなかった。

 トップチームの監督の経験がないなら、岡田がアドバイスしていく絵を想像する人も多いだろう。実態はまったくの逆だった。

 余計な口出しは一切しない。自分が1997年のフランスW杯アジア最終予選で日本代表の監督を任されたとき、経験がなかろうが、若かろうが、すべてを任せてくれたという経験があったからだった。

「今治のサッカーを理解していることで言えば、彼が誰よりも適任だった。最初はちょっと戸惑っていたようだけど、6連勝して最後まで(昇格を)争ってくれた。チームに“行けるかも”というムードをつくってくれたことが結果的には、今季の昇格につながっていると俺は思っている」

まだどこかに甘さがなかったか。

 昨シーズンを終えて、岡田も自分自身を振り返ったという。

 まだどこかに甘さがなかったか、どこかに緩さがなかったか。

 今季の監督は日本協会の元技術委員長で、FC今治の育成コーチを務めてきた小野剛に要請した。サンフレッチェ広島やロアッソ熊本でも監督を務めており、経験値を考慮したうえでも小野に託したいと考えた。

 チーム編成では駒野友一、橋本英郎の元日本代表を獲得した。駒野は南アフリカワールドカップでも一緒に戦った“教え子”であり、橋本は大阪・天王寺高の後輩。さまざまなクラブ、カテゴリーで戦ってきた彼らの力は必要だった。

【次ページ】 修羅場を経験し、強い気持ちを持つ。

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