サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
中国に2-1、若い代表が得た勝利。
五輪への経験と優勝の二兎を追え。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/12/11 11:50
東京五輪のエース候補である上田綺世は1トップに抜擢されたがシュートを放つことはできなかった。あと2試合、修正した姿が見たい。
3試合を終えた時点で満足するために。
森保監督にはふたつの意図があった。
「トレーニングだけでなく試合のなかでも(3バックを)修正したいと思っていたのでこの交代になったことと、(システムが時間の経過とともに)スムーズにいきだしたなかで新たに選手を入れて、最後に失点をしたので、それまでの連携連動を生かして勝ち切ろうと思いました」
チームの底上げをはかるためにも、スタメンにできるだけ長くプレーさせたい。 中国に勝ち切ることで、選手に自信を持たせたい。中国の3人目の交代選手はセンターバックで、日本の2点目はその直後だった──指揮官の言葉を補足すれば、そういった思いもあったのだろう。
もっと早く動いても良かったし、実際に動くことはできた。しかし、3試合トータルでより多くの選手に経験を積ませていくことを、中国戦を終えたばかりのいまは期待したい。
中国とて万全とは程遠いチームだった。
選手のパフォーマンスにも触れるべきだろう。
チームの練度が低い今回のような試合で、問われるのは個の対応力である。組織でカバーしきれない部分を個で補っていくのは、3試合に共通するテーマだ。
中国戦の日本はぶっつけ本番だったが、実は中国も厳しい状況だった。
11月にイタリア人のマルチェロ・リッピが辞任した中国は、国内クラブを指揮している李鉄監督が暫定的に采配をふるっている。’02年の日韓W杯に出場した42歳は、過去に代表チームを指揮したことがない。
メンバーもガラリと入れ替わっている。日本のように東京五輪世代を数多く招集していないものの、W杯2次予選を戦ってきたチームとははっきりと一線を画している。日本戦が国際Aマッチデビュー戦だった選手もいた。国際経験という意味では、日本と変わらない顔ぶれだったと言っていい。