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中国に2-1、若い代表が得た勝利。
五輪への経験と優勝の二兎を追え。

posted2019/12/11 11:50

 
中国に2-1、若い代表が得た勝利。五輪への経験と優勝の二兎を追え。<Number Web> photograph by Getty Images

東京五輪のエース候補である上田綺世は1トップに抜擢されたがシュートを放つことはできなかった。あと2試合、修正した姿が見たい。

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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 難しい試合になるのは、あらかじめ予想できた。

 12月10日に開幕したE-1選手権の日本代表に、カタールW杯アジア2次予選の主力はいない。FIFA(国際サッカー連盟)のカレンダーに基づいた大会でないため、海外クラブ所属選手は基本的に招集できないからだ。

 Jリーグでプレーする国内組によって編成された今回のチームで、W杯2次予選に先発したことがあるのは橋本拳人ひとりである。FC東京に所属するこのボランチも、ポジションの序列では柴崎岳と遠藤航を追いかける立場だ。

 国際Aマッチ出場は井手口陽介の13試合が最多で、一度も出場していない選手が半数以上を締めている。代表チームの主力として勝敗の責任を負ってきた選手が、このチームには見当たらないのだ。E-1選手権は編成の難しい大会だが、今回は際立って経験値の低い集団である。

 経験と実績を重視したチームを、国内組だけで作ることは可能だった。しかしここで森保一監督は、東京五輪世代のボリュームを増やすことを選んだ。来夏を見据えた強化方針は尊重されるべきだが、それもまた’13年以来の優勝を目指すうえでは障害となる。

 そもそも準備期間が、圧倒的に短い。先週末までJ1リーグが行われており、中国との開幕戦へ向けたトレーニングはわずかに2回だけだった。

 さらに言えば、中国戦は大会の初戦である。ただでさえ緊張感は高まる一戦に、急増チームが準備不足で臨んだのだ。難しいゲームになる要素はいくつもあった。

選手の慣れを重視して布陣を変更。

 森保監督は日本代表の主戦術とする4-2-3-1ではなく、3-4-2-1のシステムに選手を配置する。「3バックで戦っている選手も多い。その経験値を生かしながら」との狙いだが、序盤は中国に押し込まれる。

 相手のプレッシャーを回避できずに自陣に押しとどめられ、右アウトサイドの橋岡大樹、左アウトサイドの遠藤渓太が最終ラインへ吸収される場面が続く。チーム全体が後退することでボールを奪う位置は低くなり、タテへの推進力を発揮できないのである。システムの長所を生かしたのは3-4-2-1の日本ではなく、4-3-3の中国だった。

【次ページ】 流れを変えた畠中槙之輔のシュート。

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