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中国に2-1、若い代表が得た勝利。
五輪への経験と優勝の二兎を追え。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2019/12/11 11:50

中国に2-1、若い代表が得た勝利。五輪への経験と優勝の二兎を追え。<Number Web> photograph by Getty Images

東京五輪のエース候補である上田綺世は1トップに抜擢されたがシュートを放つことはできなかった。あと2試合、修正した姿が見たい。

流れを変えた畠中槙之輔のシュート。

 劣勢の流れを変えるきっかけは、16分の決定機だった。左サイドからのFKが逆サイドへ流れ、畠中槙之輔のシュートが左ポストを叩いた。中国の李鉄監督は「開始20分はハイプレッシャーをかけた」と話すが、相手が徐々に勢いを失うことで日本は敵陣でボールを動かせるようになる。中国のパスの出どころに誰がプレッシャーをかけるのかについて、少しずつ整理されていったことも主導権を引き寄せる要因となった。

 29分の先制点は、イメージの共有から生まれた。

 3バック左サイドの佐々木翔のタテパスを、1トップの上田綺世がワンタッチでさばく。パスを受けた左シャドーの森島司がドリブルでペナルティエリアまで侵入し、グラウンダーのクロスをゴール前へ送る。「相手に競り勝つことだけを考えた」という右シャドーの鈴木武蔵が、マーカーを引きずるように飛び込んでネットを揺らしたのだった。

 前半はこのまま1-0で終了する。相手の攻撃に応じたポジションのスライドが遅れることはあったものの、20分以降の中国がはっきりとペースダウンしたこともあり、ロッカールームへリードを持ち帰ることができた。

疲労の分散と経験の蓄積の間で。

 今大会は中3日で3試合を消化していく。韓国はヨーロッパでプレーする選手を除いても、日本より競争力の高いチームを組んでいる。中国に勝つことは大前提だが、残り2試合を念頭に疲労の分散を意識して後半を戦うことも必要になる。

 森保監督は慎重だった。中国は後半もキックオフから勢いを持って戦い、66分までに交代選手を2人投入するが、日本はスタメンの11人のままでしのぐ。

 最初の交代は71分である。三浦のヘディングシュートで2点目を奪ったあとで、鈴木を下げて田川亨介を投入する。

 ふたり目の交代は84分だった。橋岡から相馬勇紀へスイッチする。

 3枚目のカードも準備はしていたが、89分の失点で指揮官はプランを修正する。交代枠を残したまま、終了のホイッスルを聞いた。

【次ページ】 3試合を終えた時点で満足するために。

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