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浦和がACLで痛感した変化の必要性。
微調整で済む段階は過ぎ去った。 

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轡田哲朗

轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada

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photograph byGetty Images

posted2019/11/26 19:00

浦和がACLで痛感した変化の必要性。微調整で済む段階は過ぎ去った。<Number Web> photograph by Getty Images

ACL準優勝はもちろん誇るべきことだ。しかし同時に、浦和は変化の必要性を痛感したことだろう。

大槻監督の意味深な表現。

 試合を見れば、各局面で個々の選手が相手に上回られたのは間違いない。例えばサイドに出したロングフィードに対して橋岡大樹がこれだけ競り勝てない相手、ボールを受けた関根貴大が何もさせてもらえない相手、興梠ですらボールキープさせてもらえない相手というのは、なかなかお目に掛かれない。

 その上で組織力でも、ACLでこれまで破ってきた東アジアのチームとはレベルが違った。必然の敗戦という内容が、ピッチの上にあった。

 ご存知の通り今季の浦和は、アジア各国から出場した32チームの頂点を決めるACLで決勝進出を果たした一方で、国内のリーグ戦ではJ1残留争いの成績だ。残り2試合の時点で残留が決まっていない。

 大槻毅監督は、準決勝の広州恒大(中国)との第2戦に勝利して突破を決めた後の記者会見で、こう答えた。

「Jリーグで上位にいない我々がACLを勝ち残っているのか、ACLを勝ち残っている我々がJリーグを勝てないのか、それは分かりません」

 言葉遊びのようでもあるが、重要なポイントがここにあるのではないだろうか。

リーグの順位は右肩下がり。

 浦和は2016年に決勝トーナメントから出場したルヴァン杯を制すと、'17年にはACLを制し、昨季'18年には天皇杯を優勝した。

 今季はこれで無冠が確定したが、3年連続でタイトルを獲得してきたのは事実だ。それは、浦和が残してきた大きな成果である一方で、全てはカップ戦のものだ。ACLの14試合が最多として、残り2つの国内タイトルは試合数が10試合に満たない。

 一方で、その間に約10カ月を戦うリーグ戦の成績はどうだったか。'16年は年間の勝ち点がトップ。'17年が7位で18年は5位だったが、シーズン中の監督交代があったこと、優勝争いをしたわけではないことも共通点だ。そして、今季は前述の通りである。

 こう見ると、長期的に見れば勝てなくなってきているチームが、クラブの伝統やプライドの懸かるアジアの舞台で、普段以上の力を発揮したという評価が正当だろう。

【次ページ】 浦和というチームの地力が落ちている。

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