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久保建英が感じさせた進化の可能性。
中西哲生の目にU-22はどう映ったか。
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/11/22 11:40
U-22の攻撃陣で久保建英の存在感はやはり際立っている。マジョルカ以上のパフォーマンスを代表で出す可能性もある。
堂安・久保はやはり別格。
オーバーエイジをボランチから後ろに使うのは、前線にタレントが揃っているからでもあります。
コロンビア戦を観ても、堂安と久保はオン・ザ・ボールでのクオリティで抜きん出ていました。彼らはボールを受けることを怖がらない。
2シャドーのポジションに、レフティーのふたりが並ぶデメリットも見当たらなかった。お互いのポジションを探しながらやっていました。
後半途中から起用された三好康児も、好印象を残しました。30分弱のプレータイムでしたが、堂安と久保の良さを引き出せるとの期待を抱かせました。
三好はパスの出し手にも受け手にもなれる。局面を切り開く可能性のあるところに、ポジションを取れるのも特徴です。堂安、久保に加えてレフティーが3人同時に出場するメリットとデメリットについては、もう少し長いプレータイムで見極める必要がありますが。
途中出場の選手では、食野亮太郎も可能性を感じさせました。彼もまた、DFにストレスをかけられてもボールを受けられる。自信を持って呼び込んでいる。個人的には食野にゼロトップのような役割を与え、堂安と久保の3人で流動的にポジションを取るような連携を見てみたい。
久保のパフォーマンスはまだ伸びる。
さて、久保のプレーを少し掘り下げてみましょう。
マジョルカへ加入後の彼は、自分なりに工夫や努力を重ねています。所属クラブのリーガにおける立ち位置を考えて、攻撃ではなく守備においてもチームへの貢献を意識している。今回のコロンビア戦でも様々な想定を瞬間的に整理して、立ち位置を取っていました。
マジョルカではパスを受けるタイミングがワンテンポ遅い、という場面が少なくありません。久保自身は次のプレーの準備を整えているのに、出し手がそれに合わせていない。合わせていないのか、合わせてくれないのかは分かりませんが、いずれにしても厳しい状況でパスをもらうことが多い。
11月10日のリーガ初ゴールも、実はそうでした。アレイシ・フェバスからの横パスがもうワンテンポ早ければ(早く出すことは可能でした)、久保はシュートコースを選ぶことができたのです。逆サイドではなく、ニア上を狙うこともできました。
そのワンテンポのズレというものが、コロンビア戦ではなかった。堂安や三好らとのパス交換は、試合を重ねていければさらに良くなるでしょう。そこに私は、進化の可能性を感じるのです。