プロ野球亭日乗BACK NUMBER
サイ・ヤング賞より歴史ある沢村賞。
「該当者なし」でも規定は変えるな!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/10/25 20:00
昨年は巨人の菅野智之投手が全項目をクリアして、2年連続で沢村賞を受賞した。
「完投数10試合以上」は時代に合わない?
そこで論議となったのが完投数だった。
山口が条件をクリアしたのは登板数の26試合と勝利数の15勝、勝率7割8分9厘と188奪三振の4項目。一方の有原は15勝の勝利数と勝率6割5分2厘、161奪三振に防御率の2.46という4項目をクリアしていた。しかし問題は山口が0、有原が1という完投数と山口が170回、有原が164回3分の1という投球回数だった。
1947年に沢村賞が制定されてから、「該当者なし」はこれで19年ぶり5度目。
過去には2016年に広島・クリス・ジョンソン投手が同じ4項目で受賞を果たしたが、このときは基準に満たなかった投球回は180イニング3分の1で180回をギリギリで超え、完投3試合のうち2試合が完封という内容だった。
それに比べても完投数とイニング数が少なすぎるということで「該当者なし」という結論に至ったという経緯だった。
しかしそこで論議されたのが、この完投数10試合以上というのが時代にそぐわないのではないかという点だった。
元ソフトバンク・ニコースキー氏の指摘。
この基準に疑問を呈したのは、元ソフトバンク投手で、現在は米国のケーブルテレビ局「FOXスポーツ・サウスウエスト」で解説を務めるCJ・ニコースキー氏だった。
ニコースキー氏は沢村賞の発表が行われると、すぐさまツイッターで選考基準に疑問を呈し「今年、沢村賞(日本版サイ・ヤング賞)の受賞者はなし。理由は選考基準を満たした投手が誰もいなかったからだ」と投稿。7項目を列記し「MLBの投手で最後に全て(の基準)をクリアしたのは、1999年のランディ・ジョンソンになる」と指摘した上で、最後に「10完投???」と完投数のハードルの高さに疑問を投げかけた。