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絶不調ミラン、6戦4敗で16位に沈む。
再建どころか「降格」を恐れる声も。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/05 11:30
かつての栄光を取り戻すどころか、降格圏に近い位置にいるミラン。赤黒の輝きはもう戻らないのか……。
2トップがハマらずシステム変更。
ジャンパオロ監督は4-3-1-2を基本システムとして好み、前線の3人を流動的に動かすことで相手の守備陣をかく乱する戦術を志向している。
ところが、この2人を前線に当てはめようとすると、うまくいかない。ピオンテクは中央に構えるタイプで、2トップの一角として左右に流れる動きは得意ではない。そのため指揮官は、第2節のブレシア戦で先発から外すという荒療治も試みている。
またスソについても当初はトップ下として起用を考えていたが、これも機能しなかった。「スソをトップ下と考えることこそ何もわかっていない」と批判するサッカー関係者も多い。
その結果、ジャンパオロはピオンテクをセンターフォワードに、スソを右ウイングへと据える形にシステムを修正している。ただし、攻撃はいまだに機能していない。
シェフチェンコ監督と幹部が会談!?
しかし、チームの不安定さの原因を監督だけに求めるわけにはいかない。
ミランの所属選手の平均年齢は24歳と125日で、セリエAでは最も若い陣容である。先にも述べたが、練習を通してじっくり連携を培うジャンパオロ監督は、結果を出すまでに時間を要する。成功裏に終わったエンポリとサンプドリアの就任1年目を振り返ると、実はともに6戦で4敗している。そのような過去を考えれば、ミランが成績を残せていないからといって、悲劇的に捉えるべきではないのかもしれない。
だが、結果が出なければファンやメディアが許さないのがビッグクラブの宿命だ。実際地元メディアの間では解任論も上がり、1日に行われたCLアタランタvs.シャフタール・ドネツク戦にウクライナ代表のアンドリー・シェフチェンコ監督が視察に訪れると聞くや、「試合終了後にミランの幹部と会談か」などと書きたてたところもあった。
「プレーがうまく機能していないのは認めるが、それでも時間が必要なことは最初から承知している。今の不振は我々全員に責任がある」
マルディーニは監督の続行を明言する。だが、そのスタンスをいつまで続けられるかは不透明である……。