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絶不調ミラン、6戦4敗で16位に沈む。
再建どころか「降格」を恐れる声も。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/05 11:30
かつての栄光を取り戻すどころか、降格圏に近い位置にいるミラン。赤黒の輝きはもう戻らないのか……。
宿敵インテルにスコア以上の完敗。
インテルには0-2。だが、スコア以上に圧倒されての完敗という印象が否めなかった。
前線から激しくボールホルダーを追い、パスを出した先にことごとく詰めてくる組織的なプレスを前に、攻撃の構築もままならない。逆に守備に回ると、長短のパスを織り交ぜた速攻でボールを運ぶインテルの攻撃に右往左往するばかり。
セットプレーから先制点を奪われた後は、約8000万ユーロ(約95億円)の移籍金で宿敵入りしたロメル・ルカクに追加点を奪われてしまう。その他にも危険なチャンスを幾つも作られており、大差で終わっても不思議ではない内容だった。
そのショックを引きずって中4日で迎えたミッドウィークのトリノ戦では、逆転負けを喫する屈辱を味わった。前半はトリノに対して優勢に試合を運び、相手を速攻で振り回した末にPKを得て先制に成功する。
ところがその後、トリノがアプローチを変え、守備を固めた上でイタリア代表FWアンドレア・ベロッティに手早くミドルパスを放り込む戦術をとると、あっさり崩れた。縦一本で守備ラインの裏を取られ、そのベロッティに2ゴールを浴びた。
リベリーにも振り回される苦境。
そして、冒頭で紹介したフィオレンティーナ戦である。
個人技を活かして巧みにリズムを変えるリベリーに振り回され、前半から苦境に陥る。ボールを支配して攻めようとしたプランは相手に読まれて、リベリーならびに俊足のイタリア代表フェデリコ・キエーザに次々とカウンターを喰らう。後半7分にはマテオ・ムサッキオが退場となり、その後も2ゴールを喰らって陥落した。
この6戦で、ミランは常に相手よりも高いボール保持率を誇っていた。だがそこから、シュートに行って点を取るための形を見出せていないことも露呈。枠内シュートの総数は22本で、実はセリエAでワースト2位タイという体たらくなのだ。
その前線では、昨季の攻撃の二枚看板であるクシュストフ・ピオンテクとスソが揃って機能していない。