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絶不調ミラン、6戦4敗で16位に沈む。
再建どころか「降格」を恐れる声も。
posted2019/10/05 11:30
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph by
Uniphoto Press
9月29日、セリエA第6節ミランvsフィオレンティーナの89分。1ゴールのほか数々の美技を披露したフィオレンティーナのFWフランク・リベリーに、交代が命じられる。するとサン・シーロの観客は、スタンディングオベーションで彼を褒め称えた。
かつてのアレッサンドロ・デルピエロやフランチェスコ・トッティのように、圧倒的な美技を見せつけた相手選手に対して、こういった反応は時々ある。しかしそれは相手への賛辞とともに、不甲斐ない戦いを見せた自軍への強烈な抗議の意味も含まれているのだ。
事実、そうだった。
試合は1-3でミランの惨敗。スタジアムに集ったミラニスタたちは一斉にブーイングを浴びせた。21日、絶対に負けられないミラノダービーで敗れ、26日のトリノ戦では逆転負けを喫し、とうとう3連敗……。開幕6戦で4敗という低迷ぶりは、1938-39シーズン以来、実に81年ぶりのクラブ記録だという。
インテルとの勝ち点差はもう12。
6連勝で首位を行く同郷のライバル、インテルには勝ち点12の差をつけられてしまった。
OBズボニミール・ボバンを強化統括担当のチーフ・フットボール・オフィサーに迎え、攻撃的に仕掛けるアイデンティティを再構築するシーズンと位置付けた。
ところが、再生を図ったつもりがとんでもないことになった。名門復活どころか「このままでは1982年以来の降格になる」と心配の声が募る危機的な状況だが、なぜこんな混乱に陥ったのか。そして果たして、窮地脱出はなるのか。
ミランは、明確なコンセプトを描いてチームを作り直していたはずだ。ジェンナーロ・ガットゥーゾ前監督の厳しい指導で組織力は高まったが、攻撃力を高められず上位進出は叶わなかった。