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原辰徳監督1000勝の日が転換点に。
デラロサのセーブが覇権奪回の道標。
posted2019/09/13 17:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
勝てる試合を確実に勝てるようになった。優勝へのカウントダウンが始まった巨人には、その闘いが明らかに変わったターニングポイントがある。
それは原辰徳監督が監督通算1000勝をマークした7月30日の広島戦だった。
この試合でルビー・デラロサ投手が3点リードの9回にクローザーとして初登板。1回を1安打2奪三振で抑えて1つ目のセーブを記録した。実はその後、チームはまさかの6連敗を喫して2位のDeNAに0.5ゲーム差、3位の広島に1ゲーム差まで迫られる大ピンチを迎えることになるのだが、この間も終盤の競り負けは8月3日のDeNA戦で同点の8回に中川皓太投手が決勝点を奪われた1試合だけなのである。
要はその他の5敗は打線が抑え込まれ、先発が先に点を取られて序盤からリードを許して星を落とす。言わば負けるべくして負けた試合だったのである。連敗の重みはあった。それでも負け方そのものは、ある意味では諦めのつくものだったともいえる。そしてこの7月30日を転機に、巨人の負け方の質が大きく変わっていったのである。
「いわゆる勝利の方程式を作る」
「僕が最初に投手コーチになった時に考えたことは、勝てる試合をきちっと勝ち切ること。そういう投手陣を作ることで、要はいわゆる勝利の方程式を作ることだったんです」
こう語るのは宮本和知投手総合コーチだったが、現実は厳しかった。
4月の半ば過ぎまではライアン・クック投手がクローザーに収まり最後の投手は固まっていたが、中継ぎ陣が不安定で3、4月の10敗の内、救援陣での黒星が4つを占めた。しかも4月の終わりにはクックが肘の故障で戦線離脱し、クローザーも日替わりで四苦八苦する時期もあった。5月8日のDeNA戦で中川皓太投手が今季初セーブを挙げると、その後は守護神だけはなんとか固まったが、問題はセットアッパーを含めた中継ぎ陣だ。