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原辰徳監督1000勝の日が転換点に。
デラロサのセーブが覇権奪回の道標。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2019/09/13 17:30

原辰徳監督1000勝の日が転換点に。デラロサのセーブが覇権奪回の道標。<Number Web> photograph by KYODO

ドジャース、レッドソックス、ダイヤモンドバックスを経て、今年6月に巨人に入団したデラロサ。ドミニカ出身。

「いまは中継ぎと抑えの方が大事なくらい」

 実は9月3日の中日戦登板後にC.C.メルセデス投手の一軍登録を抹消したが、その翌日に菅野が腰の故障で戦線離脱するアクシデントがあった。2人の抹消で先発投手の駒が足りなくなる緊急事態があったのだ。

「一番簡単なのは田口を戻すことだったかもしれないですけど、それは絶対に考えなかった。昔は中継ぎに“降格”と言われたけど、いまは中継ぎと抑えの方が大事なくらい。中継ぎとしての田口の存在を考えたら、絶対に外せないからね」

 そのピンチに9月8日のヤクルト戦が台風で中止になる“神風”もあった。しかも首位攻防戦と言われた10日のDeNA戦では先発のクックから高木、田口に大竹、中川、デラロサと繋ぐ“ブルペンデー”で4対2と完勝。この勝利でマジックを再点灯させたのである。

勝利の方程式を築く心意気。

「今はいい緊張感の中でやれている。今までなかった経験ができているし、マウンドでは絶対に落とせないという気持ち。それがいい結果につながっていると思う。これからもチームの勝ちに関わっていきたい」

 先発への想いがないわけではない。しかしその試合でも1回1/3を4人で抑えた田口は、いまは勝利の方程式を築く心意気をこう口にする。

 そして9月12日の首位攻防3連戦の最後のDeNA戦ではこんな場面もあった。

 田口は3点差の6回から今季48試合目の登板で2イニングを6人で完全に抑えると、8回には大竹が6月21日の今季一軍初登板から28試合目のマウンドで1回をぴしゃりと抑えた。そして8回には丸佳浩外野手の2ランで5点差として、セーブシチュエーションではなくなったが9回のマウンドにはデラロサが上がった。

 その背景を宮本コーチはこう説明した。

「監督は違うピッチャーでいこうと言ったんだけどね。この試合だけは絶対に落とせないから、デラロサでいきましょうと言ったんです。何よりセーブがつかなくなっても、本人が行く気だった。そういう選手なんです」

 7月30日に記録された1つのセーブ。それが5年ぶりの覇権奪回への道標だった。
 
 
 

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