プロ野球亭日乗BACK NUMBER
原辰徳監督1000勝の日が転換点に。
デラロサのセーブが覇権奪回の道標。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2019/09/13 17:30
ドジャース、レッドソックス、ダイヤモンドバックスを経て、今年6月に巨人に入団したデラロサ。ドミニカ出身。
リリーフ敗戦が3つと劇的に減少。
一方で、7月30日にデラロサがクローザーとして起動してから8、9月のほぼ1カ月半の間で、リリーフ敗戦はわずか3つと劇的な減少を遂げているのである。
デラロサはMAX160キロも速いが、真っ直ぐの平均155.4キロは現在のNPB所属投手では最速(DELTA社データサイト、以下同)。安定したストレートとスライダー、チェンジアップを武器に奪三振率から与四球率を引いたK-B%(投手の制球力の高さの指標)も阪神のピアース・ジョンソン投手の35.0に次ぐリーグ2位(26.7)と三振を奪えるパワーと制球力を備えたクローザー向きの投手なのだ。
「もちろん球も速くてピッチャーとしての力は文句ない」
宮本コーチが強調するのはそれだけではない。
「野球に対する考え方がしっかりしているし、性格も非常にいい。練習では重い球を使ってボールの回転をしっかり把握したり、独特のルーティンを持って色々と考えている。しかもそれを若い選手に教えてくれたり、マウンドだけでなくブルペンでの存在感も非常に大きくなっている」
中継ぎのピースが見事にハマった。
そうしてクローザーが確立できたことで、懸案だった中継ぎ陣もしっかり仕事ができる体制が整った。
その中継ぎのピースにはセットアッパーの中川に加えて左腕の高木京介投手、さらに過去には先発として実績のある左の田口麗斗投手とベテラン右腕の大竹寛投手が配され、それが見事にハマったのである。
「田口はボールに力がある。中継ぎやリリーフとしての実績ではもっと上の投手もいるけど、我々がしっかりとブルペンで見て、実績ではなく力で田口をリリーフのキーマンとして使っていこうと決めた。大竹にしてもあのシュートは短いイニングだとなかなか打てないですよ。だったら今の投手構成だと先発ではなく中継ぎで力を存分に発揮してくれる方がいいチームにとってはベストだと思いますね」
こう語るのは水野雄仁投手コーチだ。