日々是バスケBACK NUMBER
日本バスケが露呈した世界との大差。
チーム力は個があって成立するが……。
posted2019/09/11 19:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Yukihito Taguchi
FIBAワールドカップは、日本男子バスケットボール界にとっては13年ぶりに立った夢の舞台だった。そして、その舞台にあがったことで見えたものは、選手たちの多くが経験したことがないような高いレベルの戦いで、しばらく世界から遠ざかっていた日本は、その舞台で戦う準備ができていなかったという現実だった。
最終戦のモンテネグロ戦は、大会全敗同士の対戦だったのだが、全敗のチームであっても、世界トップ32チームのひとつ。ましてやモンテネグロはレベルが高いヨーロッパを勝ち抜いて上がってきたチーム。簡単な相手ではなかった。
モンテネグロ戦で気を吐いたのは、共同キャプテンの1人、渡邊雄太だった。
前戦のニュージーランド戦では、エースの八村塁(ワシントン・ウィザーズのシーズンに備えるために離脱)や共にキャプテンを務める篠山竜青(左足親指骨折で欠場)が抜けた中で、自分がチームを引っ張らなくてはいけないという思いが空回りしてしまい、「日本代表のユニフォームを着る資格がないプレーをした」と厳しい自己評価を口にするほど落ち込んでいた。
34点、9リバウンド、雄叫びも。
それだけに、モンテネグロ戦では「このまま大会が終わっては後悔が残る。とにかく自分の持っているすべてを出し切ろう」と、試合開始直後からアグレッシブなプレーを見せた。
ドライブインからのジャンパー、ファウルを誘って得たフリースローで得点を重ね、ディフェンスでもスティールや、相手のビッグマンのポストプレーに対してチャージングを取るなど、気迫のプレーで34点、9リバウンドと大車輪の活躍を見せた。3Q半ばにドライブインからダンクを決め、同点に追いついたときには、ジョージワシントン大時代によく見られた雄叫びも上がったぐらいだった。
しかし、渡邊が34点とった一方で、渡邊以外の選手は合計で31点しか取れず、65-80で黒星。結局、1勝もできないままに大会は終わった。