話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
ガンバ大阪が陥ったネガティブの罠。
宮本恒靖監督は率先して変われるか。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2019/09/04 08:00
宮本恒靖監督はガンバ大阪にとって重要な人物である。それだけに苦悩も深いのだろう。
功を奏した4バックにも遠藤は慎重。
とりわけ良さが光ったのは井手口陽介だ。もともとポジションを外してボールを獲りにいけるタイプ。アグレッシブに戦える環境に置けば彼の良さが輝く。
そして、中盤でボールの出し入れをしてゲームをコントロールしていたのが遠藤だ。テンポの良いリズムを生み、流れを作った。いまだに、こうした変化は他の選手には作れない。
井手口も「ヤットさんの存在が大きいのは否めない」とあらためてその存在感を認めている。遠藤を軸に展開した攻撃で1点を返したものの同点にはいたらず、逆にマリノスに決定的な3点目を奪われて試合は終わった。
流れが良くなった4バックは、今後ガンバらしいサッカーを取り戻す上でポイントになるのではないか。一見するとそう思いがちだが、遠藤の見方は慎重だ。
「点を取るためにリスクを負っての4バックなので、今日はハマったけど、スタートからだったらまた変わる。これが最善のサッカーとは思わない」と冷静に語った。
チームに明確な方針を示したい。
では、勝てない現状では何をすべきか。
「チームが攻撃的にいくのか、守備的にいくのか、明確にすること。周囲の選手に対してサポートすること」
遠藤が語ったのは当たり前のことだが、それが今のガンバはできていない。
宮本監督は相手チームによって戦術を変え、“受ける”戦いをしている。どんな相手に対しても自分たちのサッカーを貫くだけの強さを、まだガンバは持ち得ていないという判断があるのだろう。
しかし対戦相手でやり方を変えるとしても、どう戦うのかが中途半端にも映る。また、補強した宇佐美貴史、パトリックの動きがまだ周囲と噛み合っていない。「前にいた時とは違うし、そんなに簡単にはいかない。僕らがサポートしていかないといけない」と遠藤が語るが、もう9月なのにチームの完成度はまだ道半ばという状態だ。