話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
ガンバ大阪が陥ったネガティブの罠。
宮本恒靖監督は率先して変われるか。
posted2019/09/04 08:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Getty Images
ガンバ大阪が横浜F・マリノスに1-3で敗れ、これで6戦勝利なし。
順位は14位だが、自動降格の17位松本との勝ち点差は4、降格危機に片足を突っ込んだ状態から抜け出せない。
マリノス戦は、流れを変えるキッカケにしなければならないゲームだった。
それまで5試合連続ドロー。神戸戦や磐田戦は勝ち点を失った感があるが、鹿島戦のように引き分けをもぎ取った試合もあった。負けていないが、勝ててもいない。遠藤保仁が「何とも言えない」というように微妙だ。
連敗している状況であれば、システムや選手を思い切って入れ替えていくこともできるが、負けていないのでチームとして何をどう修正していくかの難しさがある。
これまで宮本恒靖監督はベースを変えずにやってきた中で、マリノス戦に勝てばやってきたやり方に自信が持てる。勝ち点3を得るために相手を入念に分析し、戦術的な練習をこなし、周到な準備をして満員の三ツ沢に乗り込んできた。
前半は窮屈だったが、後半に復活。
マリノスにボールを保持されるのは想定内。ボランチとサイドバックがキーになるチームなのでそこへプレッシャーをかけつつ、ショートカウンターを狙う。だが、相手の圧力に両ワイドを下げられて5バックになり、押し込まれた。
練習でやってきたことができない状態では、次に打つ手がなくなってしまう。選手は監督から指示されたことを「やろう、やろう」と思い過ぎるあまり、窮屈にプレーしている。遠藤は、「勝ち点3を獲りたいので、先に失点したくない感じになっている」と話したが、「取られたくない」というネガティブな思考では選手の良さは出にくい。
結局前半は何もできず、1失点で収まったことが幸運に見えるほど低調な出来だった。
しかし後半13分、遠藤とパトリックを投入し、4バックになってから流れが変わる。
0-2で負けている状況で、点を取りにいく必要がある。高い位置でプレッシングをかけてボールを奪い、リズムを徐々に手繰り寄せる。