話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
水戸・小川航基が貪欲に求める結果。
J1昇格、15点、堂安と一緒に五輪。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/08/28 11:30
水戸・長谷部監督から指示を受けるFW小川。移籍後、6試合で4得点を挙げていたが、第29節東京V戦ではノーゴールに終わった。
小川航基が結果を求める理由。
小川は、点が取れない自分に対して口をとがらせた。
「なんか、物足りないんですよ。点を決められなかった試合のあとって、ガキですけど、モノに当たりたくなる。なんかサッカーやっている意味あるのかっていうぐらいな感じになってしまうんです。なんか言葉に言い表せないようなモヤモヤしたものがあって、ほんとキツイっすね」
小川が狂おしいまでに結果を求めているのには、理由がある。
ひとつはチームで点を取って、「水戸をJ1昇格させる」ためである。そして、もうひとつの大きな目的は「結果を出して来年の東京五輪代表に繋げる」ためだ。
危機感を強めるキッカケになったのは、6月の国際大会だった。東京五輪を目指すレギュラー候補組は森保一監督とともにコパ・アメリカに出場した。一方、小川はBチームとしてトゥーロン国際大会に出場した。メキシコ戦、ブラジル戦で1ゴールずつ挙げて、チームに貢献したが、驚くようなインパクトを残せなかった。
「2点取ったところで、インパクト大というわけじゃなかった。なんか忘れられていた小川航基がまだいたんだぐらいのニュアンスだったと思う。これじゃ何も状況は変わらないし、1大会で2点取ったぐらいじゃ評価も上がらない。チームで結果を残しつづけてA代表に入って、あの時(トゥーロン)の小川航基が頑張って這い上がってきたと思われるようにならないといけない」
危機感が後押しした移籍。
小川には、トゥーロン組はあくまでコパ組の控えという考えが頭にある。その状況を変えていくには、ストライカーとして結果を残していくしかないと考えている。
「今は、危機感しかない。コパに行けなかった選手はこのままいけば五輪代表チームから落選してしまう。何かを変えていかないとコパに行った選手を蹴落とすことができない。それには試合に出てゴールを挙げるしかないんですよ」
そのために試合に出ないといけない。
磐田には'16年から在籍していたが、'19年7月まで全23試合1ゴールの成績だった。出場機会がなく、このままで終わってしまうという危機感が小川に外に出る決心をさせた。