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五輪に向け正念場の女子バレー。
課題は攻撃の「枚数」とパターン。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKyodo News
posted2019/08/22 11:30
国際親善試合で台湾に3-0で勝利し、タッチを交わす日本代表の荒木(5番)ら。
ミドルからの攻撃本数を増やす。
日本には「ミドルからの攻撃本数を増やす」という長年の課題がある。
ネーションズリーグ序盤や、その前のモントルーバレーマスターズでは、セッターにミドルからの攻撃展開を得意とする関菜々巳を起用したが、中盤からはほぼすべての試合で佐藤美弥に任せた。
Vリーグではミドルを絡めた攻撃展開を得意とする佐藤だが、世界を相手にすればブロックの高さやシステム、サーブの精度や威力も違う。セッターが待つポジションから、ほぼ動かずトスを上げるAパス時なら多彩な攻撃展開ができても、アタックラインやその後方、サイドラインを割るような位置に返るBパス時にはレフトへトスが偏り、ブロックに屈する場面が少なからず見られた。
「エース」からだけの攻撃では……。
ネーションズリーグでは攻守の要として主軸を担った石井優希や、黒後愛、古賀紗理那といった「エース」と称される選手を擁したが、いくら攻撃力があるとはいえ「ここからしか打ってこない」となると、ブロック、レシーブを相手に揃えられて、得点を取るのは容易ではない。ならば古賀が「(セッターにきれいな)パスを返そう、というのは一番にあるけれど、なかなかそういうシチュエーションばかりにはならないので、(崩されたときに上がる、高く大きいトスの)ハイセットをどこに決めようか、と切り替えるようにしている」と言うように、重視すべきは「いかにパスを正確に返すか」よりも「崩れた状況からでもいかに攻撃を展開できるか」であるはずだ。
チャイニーズタイペイとの親善試合でスタメン出場した田代はこう言った。
「ネーションズリーグを見ていて、ライトゾーンからの攻撃、ミドルやバックアタックがまだ少ないと感じていました。Bパスになるとレフトが多かったので、Bパスからでもミドルの(片足で踏み切る)ワンレッグを使う。そこにプラスして(新鍋)理沙の速いライトがあれば相手も嫌だと思うので、パスが返った時だけでなく、理沙を積極的に使うよう意識しました」