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五輪に向け正念場の女子バレー。
課題は攻撃の「枚数」とパターン。
posted2019/08/22 11:30
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Kyodo News
「これ、何を書いたらいいか、わからないですよね」
外は38度。8月の深谷ビッグタートルは立ち見も出るほど多くの観客が押し寄せる盛況ぶりであったにもかかわらず、パソコンを手にした記者からは思わずそんな言葉が漏れる。女子バレーボール日本代表が出場するワールドカップ前の貴重な公式戦。6月のネーションズリーグからどれほどの変化や進化を遂げたのか、9月に開幕するワールドカップ、さらには来年の東京五輪へ向けた現在地を見定めるいい機会のはずだった。
だが現実はといえば、ネーションズリーグで厳選されたメンバーに加え、荒木絵里香や昨季はルーマニアリーグでプレーした田代佳奈美、井上琴絵と、昨秋の世界選手権出場選手が加わった日本(世界ランキング6位)に対し、対戦したチャイニーズタイペイ(同33位)は若手主体。直前まで24カ国によるオリンピック最終予選が開催されたため、ランキング上位国とのマッチメイクが難しい時期だということは分かるが、サーブだけで連続失点を喫する相手では、試合前までははしゃいでいたのに居眠りをしてしまう子供の姿もちらほら。いくら親善試合とはいえ、間もなく始まるワールドカップへの準備にするには、あまりにレベルが違った。
日本代表は何を重視していたか。
いささか拍子抜け感は漂っていたが、それでも貴重な実戦の場。どんな相手だとしても、やるべきことはある。中田久美監督も「何ができた、できなかった、というよりも前に、まずこの試合はネーションズリーグからここまで練習してきた成果が発揮できるか。その点に重きを置いていた」と語った。
ワールドカップに向け、日本代表は何を重視していたか。
7勝8敗。9位で終えたネーションズリーグで把握できた、克服すべき課題はいくつもある。そのなかの大きな1つが攻撃の偏向だ。圧倒的な攻撃力を誇る選手を擁するわけではない日本が、より効率的に得点を取るには特定の1人の選手や決まったポジションからだけでなく、どんな場所からでもいくつものパターンの攻撃を展開することが不可欠となる。