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バスケW杯に富樫勇樹はいない。
司令塔の穴埋める「守備」への意識。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/08/20 20:00
8月12、14日に行われたニュージーランドとの強化試合では2戦とも先発PGとして出場した篠山竜青。“富樫不在”の穴を埋める活躍に期待がかかる。
武器は「粘り強い守備」と「切り替え」。
派手なオフェンスや華麗なパスワークを武器に、日本はアジア予選を突破してきたわけではない。
粘り強く、激しい守備をベースに、攻撃への素早い切り替えを武器にして、ゲームのテンポを上げながら、泥臭く戦ってきた。だからこそ、自力では21年ぶりとなるW杯の出場権を手にすることができたのだ。
昨年と比べて渡邊が経験を積んだ、八村がNBAのドラフト1巡目で指名された、それだけを理由に一気に強豪へと躍り出るほど、甘い世界ではない。実際に、国際バスケットボール連盟が発表するFIBAランキングは世界で48位に過ぎない。
サッカーのFIFAランキングで見ると、アジアカップで準優勝した日本は33位だ。1998年からW杯に7回連続で出場しているが、過去にベスト16に進んだことはそのうち3回だけ。競技人口の多い競技はそれだけ競争も激しい。世界との差が一気に縮まるものではない。
得点力や、プレーと判断のスピードを兼ね備えている司令塔の穴は簡単には埋められない。富樫の役割を誰かが肩代わりしようとするのではなく、そんな状況だからこそ、チームが一丸となって取り組むべき「守備」に意識を向ける。すべては「守備」から切り開いていかないといけない。
それこそが、富樫不在という苦しい状況で良い結果を手繰り寄せるために欠かせないことなのである。