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バスケW杯に富樫勇樹はいない。
司令塔の穴埋める「守備」への意識。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/08/20 20:00
8月12、14日に行われたニュージーランドとの強化試合では2戦とも先発PGとして出場した篠山竜青。“富樫不在”の穴を埋める活躍に期待がかかる。
長身PGに対抗する田中の起用。
本来はSGである田中は、昨年11月30日に富山で行われたカタール戦で急きょPGを務めた。フリオ・ラマスHCもその活躍を絶賛していたように、大会でも興味深い役割を担うことになりそうだ。
ラマスHCはW杯の対戦国の選手を挙げ、田中の新たな役割を説いている。
「たとえば、W杯で対戦するチェコ代表には(トマシュ・)サトランスキという大型のPG(身長201cm)がいるのですが、そのようなサイズの大きいPGに対抗する方法として、田中大貴の起用などを考えたりしています。
大貴も、場合によっては(起用するかもしれないSGの)比江島(慎)も、クラシックなタイプのPGではないです。でも、彼らにはSGでやることと、まったく同じことを1番(PG)でやってもらいたい。マッチアップする必要があるときには、サイズのある選手にマッチアップできるようにということです」
確かに、日本代表でPGを務める選手たちの身長を見てみると、田中がこのポジションを務めるときの優位性は見えてくる。
田中大貴 192cm
富樫勇樹 167cm
篠山竜青 178cm
ラマスHCの期待は「守備」。
田中自身もこう話している。
「自分がPGをやることで、何で良い影響を与えられるかといったら、ディフェンスの際のサイズだろうと思います」
興味深いのはラマスHCが「富樫が怪我をしてチームを離れたから田中にPGを任せようとしているわけではない」と話していることだ。
ラマスは日本と平均身長がそれほど変わらないアルゼンチンからやってきた名将である。彼は早い段階から、体格に恵まれないチームが世界と戦うためにどうすればいいのかを考えていた。その言葉が嘘ではないのは、昨年11月のカタール戦の田中のPG起用で証明されている。
そして、何より大切なのは、とりわけ「守備」の局面で田中に指揮官が期待を寄せている事実である。