バスケットボールPRESSBACK NUMBER
バスケW杯に富樫勇樹はいない。
司令塔の穴埋める「守備」への意識。
posted2019/08/20 20:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
大きく膨らんだ期待の陰に、不安要素は存在する。しかし、そこに目が向けられることはあまりない。
9月1日のトルコ戦から中国W杯の戦いをスタートするバスケットボール日本代表では、渡邊雄太と八村塁のNBAコンビが昨年9月以来となる代表に戻ってきたことばかりがフィーチャーされる。2人の成長があるからこそ、これほどまでに大きな期待がうずまいているのだ。
ただ、忘れてはならないことがある。
昨シーズンのBリーグMVPで、リーグ史上初の1億円プレーヤーにとなるほどの実力の持ち主である富樫勇樹が、7月の代表合宿中に右手を骨折。W杯への出場は叶わなくなってしまったのだ。
5月にBリーグのシーズンが幕を閉じると、富樫はアメリカや沖縄にわたり、積極的な自主トレに励み、W杯への準備に余念がなかった。司令塔のPG(ポイントガード)として、これまでチームを引っ張ってきた責任感は、その精力的なトレーニングとなって表れていた。
富樫不在のPG候補は4人。
では、その富樫の怪我により、ぽっかりと空いた“穴”はいかにして埋めていくべきなのだろうか。
8月、日本代表はすでに終わったニュージーランドとのテストマッチ2試合を含め、中国W杯を控えて5試合の強化試合を戦う。その5試合を戦った候補メンバーの中から、W杯本大会に出場する12人のメンバーが選ばれるが、そのなかに現段階ではPGの候補が4人いる。
篠山竜青、安藤誓哉、ベンドラメ礼生というPGを本職とする3選手と、アルバルク東京ではシューティングガード(SG)として登録されている田中大貴の計4人だ。
2018年以降はキャプテンを任され、W杯予選で富樫が欠場した試合ではスターティングメンバ―に名を連ねていた篠山と、SGとしてもプレーできる田中はすでに当確と言っていいだろう。そのうえで、残り1枠を安藤とベンドラメが争う状況にある。