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バスケW杯に富樫勇樹はいない。
司令塔の穴埋める「守備」への意識。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/08/20 20:00

バスケW杯に富樫勇樹はいない。司令塔の穴埋める「守備」への意識。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

8月12、14日に行われたニュージーランドとの強化試合では2戦とも先発PGとして出場した篠山竜青。“富樫不在”の穴を埋める活躍に期待がかかる。

田中も認める篠山のスイッチ。

 同様に、W杯でPGを務める可能性の高い篠山も、「守備」での貢献を自らの最大の役割として挙げている。

「ディフェンスでチームにスイッチを入れるというところが、自分の一番の役割だと思います」

 篠山の守備について、PGを本職としていない田中もこう語っている。

「竜青さんはずっと相手にプレッシャーをかけ続けているじゃないですか? そういったところは、自分も勉強していかないといけないなと思っています」

 99-89で勝利をつかんだ8月12日のニュージーランドとの1試合目でも、篠山の守備におけるインテンシティー(強度)の高さは際立っていた。第1クォーター(Q)では最大16点差をつけたのだが、序盤からのアグレッシブな守備がチームに活力をもたらしていた。

 14日のニュージーランドとの2試合目は87-104で敗れたものの、クォーターごとのスコアを見てみると、第3Qだけは28-23で日本が上回っていた。そんな第3Qの開始直後でも「プッシュしていけ!」という篠山のチームメイトへの怒号はコートの外にも響き渡り、激しい守備からチームにリズムをもたらしていた。

ファールを厭わないディフェンス。

 もちろん、そんな篠山にも課題はある。激しいディフェンスと表裏一体なのだが、どうしてもファールが増えてしまう傾向があるのだ。W杯予選のときからそうだった。ニュージーランドとの1試合目でも、第3Qの早い段階で3つ目のファールを犯してしまい、5つのファールをもらって退場を命じられないように、一度ベンチに下がらなければいけなくなった。

 それでも、篠山は断言する。

「激しい守備を変えるつもりはもちろんないです」

 なぜなら、それが自身の強みを出すことであり、チームにとって欠かせない仕事だと考えているからだ。

「(退場になってしまう)5つのファールを計算して、状況に応じ、有効に使える選手にならないといけないと思うので。そこは感覚の部分になってしまいますけど、今のディフェンスの高いインテンシティーのなかでファールを使うというのは、色々な海外のチームとやりながら、自分の感覚を研ぎ澄ましていかないといけないと思います。これからアルゼンチンやドイツなどの強豪国との強化試合で良い経験を積めると思います」

 この「守備」こそが、富樫不在の日本に求められるキーワードである。

【次ページ】 簡単には埋められない富樫の穴。

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