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1日かけてプロ野球を遊び尽くし、
東京ドームと選手の巨大さに驚く。
 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byYasutaka Nakamizo

posted2019/08/17 11:40

1日かけてプロ野球を遊び尽くし、東京ドームと選手の巨大さに驚く。<Number Web> photograph by Yasutaka Nakamizo

左からスポーツ報知の加藤弘士さん、川相昌弘さん、糸井重里さん、筆者。野球で遊ぶのは大人も楽しいのだ。

「巨人の4番」はしんどいのだ。

 4回裏、坂本勇人の9年ぶり30号到達弾で反撃開始。中盤にはゲレーロや岡本の一発もあり、巨人がジワジワとにじり寄る。「坂本好調の要因はやっぱり同世代の丸の加入も大きい」と川相さん。どの世界も歳の近いライバルの存在は刺激になる。

 背番号25のあのビッグベイビーにも、早く同年代の強打者が出てきたらいいのにな。岡本は'96年生まれの大卒新入社員と同い年。もちろん冷静に見たら、21本塁打に67打点は普通の23歳スラッガーなら充分合格点だ。その若さで会社のビッグプロジェクトの中枢を任せられるってかなりの無茶ぶりだと思う。

 でもさ、このしんどさが「巨人の4番」なんだよね。今はまだ坂本や丸の後ろに隠れた末っ子みたいな立ち位置。それこそ3割30本打っても、勝負弱い4番打者なんて最前線でボロクソに批判されながら、こんちきしょうとホームランをかっ飛ばしたのが現役時代の原辰徳だった。

若者の心を掴むのはやはり若者。

 8回表、山田哲人のタイムリーで再び4点差に広がり、やっぱり燕打線はあなどれんと溜め息をついたその裏、復活ゲレーロが2打席連発の12号で3点差。さらに1死一、二塁のチャンスを作り打席には4番岡本。もちろんホームランが出たら同点だ。

 客席も放送席もみんな一発を期待する。オカモト、頼むオカモト。今の巨人はひと振りで球場の空気を一変させる20代のスターを欲しているのだ。そう、往年の松井秀喜のようなスラッガーを。

 50代にしてトップ戦線で戦い続けるプロレスラーの鈴木みのるは、自著『プロレスで〈自由〉になる方法』の中でこう書く。

「数年前、(人気が復活しかけていた)新日本プロレスに足りなかった最後のピースは、オカダ・カズチカという“若きスター”だった。10代前半のファンは年が離れた40代のレスラーには憧れない。古くは猪木さん、馬場さん、UWFもそう、パンクラスだってそう、全日四天王、闘魂三銃士、みんな20代だった。いつの時代だって、20代の人間が、このプロレス界を塗り替えて変えてきたんだ」と。

【次ページ】 誰もが期待する場面で、岡本が!

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