ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
日本ハムが3年連続“三つ星”評価。
同志に寄り添う「客セン」の対応術。
posted2019/08/19 18:00
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
Kyodo News
耳を傾け、思いに寄り添う。文言には心を重ね合わせ、真意を読み解く。
心身を酷使する業務、球団の最前線を担う「最強チーム」が存在する。
その陰には、1人の故人がいる。
北海道日本ハムファイターズには「お客様センター」という部署がある。主にファンの方々からの電話を受け、メールでの問い合わせ等に対応するのが業務である。
直近では、多い日で1日に約400件、電話とメールでのコンタクトがあったという。それを、主に「コミュニケーター」と呼ばれる職員が対応する。野球に例えれば選手、プレーヤーにあたるのは6人。ファイターズは、すべて女性職員である。時に、上長の男性が対応するケースもあるが、歴戦の女性職員たちが常に先頭に立つ。
温かい言葉、辛らつな言葉。
8月17日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦(札幌ドーム)で、シーズン佳境での痛恨の9連敗がストップした。その間は、もちろんファンの方々からの嘆き、怒りの電話やメールが増える。逆に好調であれば、不調時と比して平穏ではあるという想像は容易だろう。
「コミュニケーター」はそれぞれのデスクで電話、メールを待ち、適切かつ的確に応対する。相手の大半はファンである。いわば、部署名そのままの「お客様」になる。誠心誠意、向き合うのが第一義である。
チーム関連の意見等の一部は、広報部にも共有される。ゲーム戦略に関すること、選手のプレーに対する意見、選手のファンの方々への立ち居振る舞いについてなど、多岐に渡る。温かい言葉もあるが、大きな期待をしているからこそ、辛らつで、激しい内容もある。こちらも目を通しているだけで、心が折れそうになるメッセージは少なくはない。
分類をすれば、電話は年配の方々がメーンで、メールはパソコンやスマートフォン等のツールの扱いに慣れている若年層が多いという傾向が顕著なのだそうだ。電話での一例を挙げれば、長時間のケースでは1人で約30分、チームに対しての指摘を受けることもある。