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小笠原満男が子供達に伝える自立心。
「荷物ぐちゃぐちゃでもいいんだよ」
text by

池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/08/15 11:40

これまでキャリアで得たことを子どもたちに還元する小笠原満男。サッカーの指導を通じて自立の重要性を伝えていく。
子どもたちと接して気になること。
小笠原が幼稚園から高校生年代までの子どもたちとともにボールを蹴り、よく観察して接する日々のなか、気になっていることがあるという。
“親と子どもの関わり方”だ。
「アントラーズの育成方針としては、子どもに対して“自分のことは自分でできるようにしましょう”という考えでやっています。それはつまり、何をするにも自分で考えて判断しなさいということ。サッカーでもそうなんだけど、正解はない。だからこそ、自分なりの正解を、自ら考えて見つけ出せるようになってほしい」
食事の選択も、コンディション管理も。
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プロのサッカー選手は、1日2時間から3時間のチーム練習がある。それ以外の時間はすべて各人に任せられる。自らのパフォーマンスを上げて、ピッチで結果を残すこと。すべての者が、その目標に向かって日々を過ごす。
「プロになって、周りがやってくれることが増えて、環境としては良くなる。でも、最後は自分だから。遠征の荷物の準備は自分でしないといけないし、食事も自分で考えないといけない。チームの食事も、定食が出てくるわけじゃない。ビュッフェ形式で、何を選んで食べるか、自ら考えて決めないといけない」
ピッチ外での選択は、食事だけではない。世界と戦う選手にまでなれば、時差との戦いも出てくる。
「ACL(AFCチャンピオンズリーグ)を戦うときには、試合に合わせて1、2週間前から時差を意識して、1時間ずつ寝る時間をズラしていった。いかに現地に着いてすぐ順応できるようにできるか。チームドクターから指示が出ていたけれど、それをどこまでやるかも、自分次第。トップに行ってもそうだもん。自分のことは自分でやれないと」