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田中裕介が知る中澤と憲剛の凄み。
岡山のJ1昇格へ「自分と向き合う」。
posted2019/08/14 08:00
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph by
Getty Images
プロ15年目、新しいクラブで「原点回帰」のシーズンを過ごしているという。
「モチベーションが昔に戻りました。プロ1、2年目や、サッカーを始めた頃に。年齢も上の方になって、いつまでサッカーができるか分からないですから、いま置かれている状況に感謝してプレーしよう、と」
ファジアーノ岡山のDF田中裕介は、4月で33歳となった。「原点回帰」の思いは1、2年前から抱いていたが、それが特に強くなったのは、セレッソ大阪に所属していた昨季の経験があるからだ。
「久しぶりに3、4カ月のケガをしてしまって(2018年4月に左ハムストリングス損傷)、長くサッカーができませんでした。もっと上のレベルに行きたいという思いは、常に持っていますが、それより、痛い箇所はあっても、健康にサッカーをできていること自体が幸せなこと。だからこそ、やらなければいけない」
2005年に神奈川・桐光学園高から横浜F・マリノスに加入。川崎フロンターレ、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)、C大阪を経て今季、岡山に加入した。第26節終了時点で、警告累積で出場停止の1試合を除く25試合に先発フル出場と、健康にプレーできることへの感謝を数字でも示している。
有馬監督も田中の予測力を信頼。
サイドプレーヤーのイメージが強いが、元来が複数のポジションをこなせるマルチロールで、岡山では主に4バックの中央を守る。的確なつぶし、正確なフィードで貢献しており、有馬賢二監督も「次に起こることを予測し、どうすれば効果的にプレーできるか、攻守において考えている。サッカーをよく理解しています」と語る。
指揮官が信頼を寄せる経験値は、多くのクラブでプレーしてきたプロキャリアによって培われた。
「『いいクラブでプレーしてきたね』と、よく言われます。たくさんのいい選手に出会い、一緒にプレーできたのは僕の財産です」