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今季のセ・リーグで頻発する
大型連勝&連敗の「謎」に迫る。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/08/12 11:50
大型連勝と連敗を続けながら4連覇を目指して首位争いを繰り広げる広島。
謎の原因に迫るもう1つのカギとは?
遡って昨年のセ・リーグでも、優勝した広島はクローザーの中崎翔太投手とセットアッパーのヘロニモ・フランスア投手の“勝利の方程式”を中心にした盤石の救援投手の顔ぶれがあった。また2位の躍進をみせたヤクルトも、抑えの石山泰稚投手を軸にそこにつなぐ近藤一樹、梅野雄吾両投手ら中継ぎ陣の奮闘がカギだった。
ところが今季の両チームはその方程式が崩壊した。それが広島は開幕からの乱高下の、ヤクルトは最下位低迷の大きな要因となっているわけである。
ただ、これだけでは大型連勝、連敗を完全に解明できたことにはならないだろう。
この謎の原因に迫るもう1つのカギが、打線の好不調の波なのである。
「5点、6点取れないと勝てない」
「みんな優勝のカギを握るのは先発を中心にした投手力って言うけど、僕はそうは思わないんですよね」
これは開幕前のオープン戦の頃、井端弘和前巨人コーチと雑談をしていたときに聞いた言葉だった。
「だっていまの野球って2、3点で勝てることってほとんどないじゃないですか。実際は5点、6点取れないと勝てないのが実情で、ある程度の打力のないチームは勝負にならない。だから僕はカギを握るのは打線だと思うんですよ」
実はこれ、昨年のヤクルトの2位躍進のもう1つの理由でもある。先発投手陣には不安はあったが、ウラジミール・バレンティンに青木宣親、雄平の外野手トリオを軸にした強力打線がガンガン打ちまくって多少のビハインドならひっくり返し、終盤を前述したリリーフ陣で逃げ切る。5点取られたら6点を取り返す打力があり、それを守り切るリリーフ陣がいるから、試合終盤のサバイバル戦を勝ち切ったのだ。