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今季のセ・リーグで頻発する
大型連勝&連敗の「謎」に迫る。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/08/12 11:50
大型連勝と連敗を続けながら4連覇を目指して首位争いを繰り広げる広島。
各チームの編成の問題が大きい。
実はこうした連勝、連敗には、昨今のセ・リーグ各チームが抱えるチーム編成の問題が大きく関わっているように思える。
それが、リリーフ陣の不安定さである。
多くのチームがセットアッパーを含め安定したリリーフ陣が作れず、先発が好投しても中盤以降に逆転負けを喫する試合が多い。かつては連敗はエースや2番手投手の力投で止まるケースが多く、そうした投手の登板が2巡することで7つ以上の大型連敗はそうはなかった。
ところが近年の野球は先発の完投が減り、継投が主流である。そこで先発が好投してもリリーフが不安定で、エースのリードを守れずに星を落とすケースが出る。すると3番手、4番手では流れを止められず、というパターンで連敗が広がっていくのである。
阪神に大きな連敗がない理由。
逆に言えばリリーフ陣をきちっと確立できるチームは、勝てる試合を確実に勝ち切って大型連敗は減っていくことになる。
実は今季のセ・リーグ6球団でリリーフ防御率が最も良いのが阪神だ。他球団を大きく引き離す防御率2.82(8月5日時点)を記録する。2番手の広島が同3.27だから、阪神救援陣の数字の良さは際立っていると言えるだろう。中継ぎの島本浩也、守屋功輝両投手の活躍や、前半戦はピアース・ジョンソン投手からラファエル・ドリス投手につなぐパターンがあり、ここ最近は岩崎優投手をセットアッパーに藤川球児投手がクローザーで結果も出している。
実は阪神は7月8日から球宴を挟んだ17日までに喫した6連敗が今季の最大連敗。ここまでのセ・リーグで最も大きな連敗のないチームの1つなのだ。