ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
今季ブンデスは日本人選手が受難。
でも大迫勇也はクラブで絶大な信頼!
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/08/04 11:40
万能型フォワードとしてブレーメンの地でも高評価の大迫勇也。今季も欠かせない主力として存在感を見せそうだ。
今季設けられた「ドイツ人」枠。
ヨーロッパ3大リーグのひとつと言われるブンデスリーガは昨今、ヨーロッパカップ戦の成績こそ低調なものの、好調な観客動員数と健全なクラブ経営に支えられて活況です。その結果、各クラブは世界各国から優秀な人材をリサーチして補強しているわけですが、その際に外国人枠が多大な影響を及ぼしています。
ブンデスリーガは2006-07シーズンから外国人枠を撤廃し、ドイツ人枠を設けました。各クラブは「ドイツ国籍を持つ12人の選手」「国籍を問わず各クラブで育成された4人の選手」と契約する必要があるものの、他の選手に関しては国籍を問わずにセレクションができます。
その結果、ブンデスリーガの各クラブはまず自国の有望選手との契約を目指し、これに加えて世界各国から実力があり、金銭面でも見合う選手の獲得を目論むのです。
西欧、東欧、アフリカ、南北アメリカ、さらには南半球の地域を含めたアジア地域からさまざまな国籍の選手が加わるなか、日本人選手はブンデスリーガの世界で正当な競争の場に立たされています。
かつてはクラブの宣伝目的、アジアマーケット開拓などの名目で選手獲得が成されたなどと揶揄されたこともありましたが、今の日本人選手は純粋にサッカーの実力で内外に評価されつつあるのを実感します。
「ユウヤの効果を実感できるんだ」
だからこそ、フランクフルトの長谷部はもちろんのこと、我らが日本のエースFW大迫勇也が手にした現在のクラブ内での立場には、頼もしさを覚えます。
ブレーメンのフロリアン・コーフェルト監督は、自身が考案したフレキシブル3トップの中央を務め、今季フェネルバフチェへ移籍したFWマックス・クルーゼの後継者として大迫を指名しました。
「マックスが去ったのはチームにとって喜ばしいことではない。ただ、その結果、新たな選手が能力を発揮してチームに多様性を与えている。マックスのポジションでプレーするユウヤの姿を見ると、その効果を実感できるんだ。
彼はこの夏に十分休むことができた。いまはとてもフレッシュな状態で疲れもない。(大迫が力を発揮してくれれば、新戦力を獲得するための)お金もかからない。それはチームにとっても幸福なことだ」
おぉ、絶大な高評価ではないですか。コーフェルト監督は「現時点では、彼は決まりだ」とも明言していて、指揮官がブレーメンのユースを率いていた時代の教え子で今季ハノーファーから完全移籍してきたFWニクラス・フュルクルクを押しのけて、大迫は攻撃陣のファーストチョイスとしての存在価値を高めています。