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データ采配が光った大学侍ジャパン。
米国監督は「球数と休養」を懸念。 

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永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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posted2019/08/02 17:30

データ采配が光った大学侍ジャパン。米国監督は「球数と休養」を懸念。<Number Web> photograph by Kyodo News

日米大学野球で3大会ぶりの優勝を果たした日本大学代表。データを駆使した継投や打撃で金の卵たちが揃う米国代表を退けた。

データを駆使した選考、戦術。

 また、日本代表の生田勉監督は会見で、選手選考の段階からあらゆる数字を出して、今回の日米大学野球に臨んだことも明かした。

「今までの野球は指導者の方が自分の目で見て、評価をした投手、バッターを選んで来たと思うんです。でも、今は(科学的な)技術が発達して、バットのヘッドスピードであったり、ピッチャーの投げるボールであったり、全てを数字で出せる時代になりました。

 水泳や陸上など他の競技には水準記録と言うものがありますが、なぜ野球にはないのかといつも疑問に思っていました。自分達が見た感覚で『このピッチャー速いな』とか、『ホップしているな』とか目測と言いますか、今まで目で見て判断してきたものを、今回、筑波大学の川村卓先生にご協力いただいて測定をしたわけです」

 6月に行なわれた選考合宿では、30m走や50m走の短距離走のタイムからキャッチャーの二塁送球タイムに至るまであらゆるものが数字で測定されたという。

選手と首脳陣をつなぐグループLINE。

 生田監督がこう続ける。

「今日の試合でも伊藤(大海)くんは150キロを超えていないんですけど、アメリカ代表から空振りが獲れています。150キロ=速いではなくて、145キロでも(空振りが獲れる)スピン率とかを科学で証明が出来る時代になりました。それを2年かけて川村先生に『ぜひ数字で表してください』とお願いしました。

 今回集まったのは目で見ただけでなく数字で選考した選手達です。その中で機動力も含め、戦う前から『勝算あり』という形で臨みました。こういうことが証明出来たのは今後の野球界の発展に繋がると確信しています」

 今大会では選手と首脳陣を繋ぐグループLINEの存在もあった。その中で首脳陣がやりたい野球を選手側に伝え、疑問がある場合は選手から質問が飛んでくる流れを作った。これも新しい時代の野球の形ではないか。

【次ページ】 日本が3大会ぶりの優勝。

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