球道雑記BACK NUMBER
データ采配が光った大学侍ジャパン。
米国監督は「球数と休養」を懸念。
posted2019/08/02 17:30
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
この夏、日本中で議論が交わされている野球の球数および登板間隔に関する問題。
大船渡高・佐々木朗希の岩手大会決勝の登板回避があちらこちらと飛び火して、専門の識者から普段は野球に関わりがない一般層に至るまで、様々な意見がメディアをとおして日夜、流されてくる。
実はその議論が起こる数日前、大学野球界でも一人の男が提言をして日本を去っていった。
男の名は日米大学野球・アメリカ代表監督のダン・マクドネル。
“米国版二刀流”として日本でも話題になったブレンダン・マッケイを育て上げた恩師と言ったら、その人物像をなんとなくでも思い浮かべてもらえるだろうか。
7月16日から21日の6日間に渡って行われた第43回日米大学野球選手権大会。最終日の第5戦の試合後に開かれた記者会見の席で、マクドネル監督はひとりの記者からこんな質問をされた。
マクドネル監督が危惧したこと。
——今回、(アメリカ代表は)12人の投手を連れて来られて、多くのピッチャーにチャンスが与えられたと思うのですが、対して日本チームは8人の投手で、森下投手が3度の先発をしました。そういう日本の投手起用に関してどのようなことを感じましたか?
マクドネル監督はこの質問に対し真摯な態度を崩さず、こんな答えを返している。
「日本は球数も多いし、登板間隔も少ない(短い)と聞いていた。そうした文化の中で森下投手が5試合中3試合に先発したというのもまあ……」
ここで同席した通訳が言葉を繋げるのを止めた。
森下投手とは、この春の全日本大学野球選手権を制した明治大学のエース・森下暢仁のことである。今秋のプロ野球ドラフト会議でも佐々木朗希と並び複数の1位指名が予想されている「大学球界の宝」だ。
そんな森下が今大会全5試合中3試合に先発したものだから、一部の間で疲労や試合後の影響などが心配されていた。